「補填知らぬはずない」 告発者、安倍前首相へ不信消えず<「桜を見る会」夕食会>

2020年12月22日 21時31分

「桜を見る会」で乾杯をする安倍首相(当時、最後列右から2人目)=2019年4月13日、新宿御苑で

 安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会を巡り、東京地検特捜部が安倍氏本人の事情聴取に踏み切った。安倍氏は収支不記載への関与を否定したとされ、安倍氏を刑事告発した人たちは「知らなかったはずがない」と口をそろえた。(小沢慧一、山下葉月)
 「安倍事務所のトップとして、知らないなんてあり得ない」
 安倍氏を政治資金規正法違反(不記載)の疑いなどで告発した弁護士有志の1人、米倉洋子弁護士は冷ややかに話した。
 安倍氏は昨年11月の疑惑発覚後、国会で「後援会としての収入、支出は一切ない」「事務所側が補填ほてんした事実も全くない」との答弁を繰り返し、夕食会を巡る記載義務や補填ほてんを強く否定してきた。
 弁護士有志らは今年5月、「1人5000円の会費では代金を賄うことはできない。差額はどのように支払われたのか」との疑問を告発という形で特捜部にぶつけた。賛同者は増え続け、今は約1000人に上る。

◆「検察は捜査を尽くして」

 水面下で捜査をしていた特捜部は、会場のホテル側が安倍氏側に提示していた見積書を入手。1人当たりの単価が会費を大きく超えていたことが判明した。
 特捜部はホテル側が夕食会当日、安倍氏側から参加者の会費を受け取り、その後、不足分を請求していたこともつかんだ。安倍氏側から支払いを受けた後、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」宛てに発行していた領収書の存在も突き止めた。
 「私の事務所の職員は、(ホテルから見積書などの)発行は受けていないとのことだった」との安倍氏の国会答弁が、事実と異なっていた疑いが出てきた。
 だが、安倍氏の秘書らは、これまでの任意聴取に、安倍氏は補填ほてんを知らなかったと説明。安倍氏も任意聴取に関与を否定しており、米倉弁護士は「秘書と口裏合わせをしているとしか思えない。補填ほてんの原資がどこから出たかも含め、検察は捜査を尽くしてほしい」と求める。
 特捜部は安倍氏の刑事責任を問うのは難しいとみている。ある検察幹部も「不記載の指示や承認があったことを示すような証拠が果たしてあるのだろうか」と慎重な見方を示す。

◆「不起訴でも徹底的に追及」

 昨年11月に安倍氏らを告発した市民団体の田中正道さん(64)は「検察に安倍氏への忖度がないか心配している。『お目こぼし』は許されない」と強調する。
 「安倍氏は国会で虚偽答弁を繰り返し、民主主義の根幹を踏みにじった。たとえ検察が不起訴にしたとしても、検察審査会に審査を申し立て、徹底的に追及する」と力を込めた。

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