「脱ガソリン車」が世界で加速 EV?HV?エコな電動車はどれ?

2020年12月23日 06時00分
 政府は近く、国内でエンジンのみで走る乗用車の新車販売を2030年代半ばになくし、「100%電動車」とする目標を掲げる見通しだ。世界的に「脱エンジン車」の動きが加速しているが、エネルギー事情などを踏まえて、各国が規制する車種と目標達成の時期の設定には、違いも生じている。(岸本拓也)

◆ハイブリッド車の判断は各国それぞれ

 地球温暖化の防止に向け各国は、ガソリン車やディーゼル車の新車販売を規制。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などの電動車を普及させる目標を掲げる。ただエンジンと電気モーターを併用して燃費を改善するハイブリッド車(HV)の扱いは、判断が分かれている。
 将来のHV禁止を掲げたのは英国と米カリフォルニア州、ノルウェー。HVをエコカーと認めず、走行中に排ガスを出さないEVやFCVへの移行を鮮明にする。「脱炭素」に向けた政治的アピールの側面もあるが、これらの地域は再生可能エネルギーが普及し、動力となる電気をクリーンにつくれることも大きい。
 一方、世界初の量産HV「プリウス」を生んだ日本や中国は、30年以降もHVを主力の環境車として扱う。30年までにガソリン車販売を禁じるドイツも、HVの販売禁止には踏み込んでいない。
 走行時に加えて車両製造や動力となる電気の発電手段を含めた「二酸化炭素(CO2)総排出量」でみると、地域によってEVが優位だったり、HVが優位だったりする違いがあるからだ。発電の約8割を火力発電に頼る日本や中国などでは、「当面の間、地球温暖化防止の『現実解』はHV」(トヨタ自動車幹部)との声が上がる。
 電動車の推進には利用者の負担増を伴う。日本では新車の3分の1を低価格の軽自動車が占める。大手自動車関係者は「仮に軽をHVにすると数10万円の値上げになるが、元々、軽は燃費が良く、環境性能はそれほど変わらない」と話す。
 ただ政府が目指す50年の温暖化ガス「実質ゼロ」の達成にはEVやFCVの普及は必須。トヨタの豊田章男社長は「国のエネルギー政策の大変革なしには達成は難しい」と指摘する。

◆再生可能エネルギーの拡大が普及へのカギ

 政府が普及を目指している「電動車」は、電気自動車(EV)だけではありません。どんな種類の車があるのでしょうか。
 Q 電動車の特徴は。
 A 電気モーターと電池、電力を制御するインバーター(電力変換器)を搭載していることです。EVは電池にためた電気でモーターを動かして走ります。ハイブリッド車(HV)は、エンジンにモーターと小型電池を併用して燃費を改善します。
 プラグインハイブリッド車(PHV)は基本構造はHVと同じですが、数十キロ程度はEVのようにモーターのみで走れます。燃料の水素と空気中の酸素を化学反応させてつくった電気でモーターを回す燃料電池車(FCV)もあります。
 Q どの電動車が普及していますか。
 A 国内ではHV。昨年は147万台が売れ、新車全体の34%を占めました。EVは2万1000台、PHVは1万7000台。FCVは685台でした。
 Q エンジンを併用するHVは環境性能がEVより劣るのでは。
 A EVやFCVは走行中にCO2を出しませんが、EV向け高性能電池の製造には大量のCO2排出を伴います。動力となる電気を火力発電に頼る日本や中国ではEVの「CO2の総排出量」はHVより多いとの試算もあります。EVの環境性能は発電事情に左右されるため、日本での普及には再生可能エネルギーの拡大も必要です。
 Q 海外ではEVが増えていると聞きます。
 A 昨年の中国のEV新車販売は97万台。米国、欧州でも増えています。各国のEV推進には、技術的に日本が優位なHVやFCVに対抗する側面もあります。製造が比較的容易なEVを推進し、将来の市場で主導権を握りたいとの思惑もありそうです。

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