車いす初日支えた「小さな手」に感謝の手袋 八王子の女性 小学生4人を探し訪ねお礼
2020年12月23日 06時00分
交通事故で右半身が不自由になった東京都八王子市の女性は、1カ月半前、初めて1人で車いすで外出した際、小学生男子4人に助けてもらった。名前も聞かなかったが、その後、駅や電車で健常者との間に「壁」を感じるにつけ「小さな手」のありがたさが身に染みるようになった。女性は22日、4人の通う小学校を訪ね「本当に心強く、うれしかった」と伝えた。(布施谷航)
女性は同市別所の榊山美賛 さん(45)。今年1月に道を歩いていて車にはねられ右半身に後遺症が残った。退院後初めて車いすで出掛けたのは11月2日午後。近くの病院に向かう途中、ランドセルを背負った子どもが話し掛けてきた。
◆心ない健常者に落ち込み「あの温かさはあたりまえじゃない」
「どうして車いすに乗ってるの?」「事故に遭って歩けなくなったの」。そんな会話をして病院に向かおうとしたら、上り坂に差しかかりうまく上れない。すると、さっきの子どもと仲間3人が「押してあげるよ」と車いすを支えてくれた。
その後、心暗くなることもあった。電車内で車いすが場所を取ることに不快な様子を見せる乗客。障害者優先のエレベーターなのに譲らず乗り込む健常者。
あの時の温かさは特別なものだと知らされた。
「あの子たちにちゃんと感謝の言葉を伝えなくては」
近くの市立秋葉台小学校に問い合わせ、4人が通っていることを確認した。1年生の高橋新 君(7つ)、長谷川翔龍 君(7つ)、能生 悠平君(7つ)、津田匠君(6つ)。22日の再会でようやく名前を知り「あの時はありがとう」とお礼を言った。子どもたちはきょとんとした表情だった。
「これからは4人の成長を見守りたい」との思いを込めて手袋をプレゼントした。
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