乗り合い送迎車広がる 民間主導で高齢者の足

2020年12月23日 08時00分

高齢者の買い物や通院などに使われている「チョイソコめいわ」=群馬県明和町で

 通院や買い物に行く高齢者らの移動を支援するため、公共交通が不便な地域を中心に、民間主導の乗り合い送迎サービスが広がっている。カーナビゲーション技術や人工知能(AI)を活用し、配車や送迎ルートの効率化を図る動きも進む。運転免許を返納後、家に閉じこもりがちになる高齢者の外出を促し、要介護状態になるのを防ぐ狙いもある。 (五十住和樹)
 「地元は車社会。年を取って免許を返納したらどうしようかと思っていた」。群馬県明和町の女性(65)は、町内で実証実験が行われている二つの送迎サービスに期待を寄せる。
 四月から始まった「チョイソコめいわ」と、十月に加わった「ラクシー」。いずれもワゴン車に相乗りする形で、小学生以上の町民が利用できる。会員登録し、その都度、事前に電話で乗降場所や着きたい時刻などを伝えて予約する。実験中は運賃無料だ。
 町内に路線バスも走っているが、本数が少ない。女性は隣の同県館林市へ買い物などに行くときに時々、送迎サービスを使っている。近所の八十代の女性も「家族に送り迎えを頼まなくても、好きな時間に病院や買い物に行ける」と喜んでいるという。
 チョイソコは、アイシン精機(愛知県刈谷市)が開発したカーナビ技術で、乗り合わせる利用者の目的地や到着時刻に合わせて最適なルートを計算し、効率良く送迎する仕組み。町内の住宅地や公共施設、スーパー、歯科医院など約百二十カ所に停留所があり、町から委託を受けた町社会福祉協議会と群馬トヨタ(群馬県高崎市)が平日に運行している。
 一方のラクシーは、来年四月から一カ月五千円で乗り放題となる予定の送迎サービスだ。運行システムはチョイソコと同じだが、利用者は自宅前で乗降でき、町外の病院などにも行ける。町社協がタクシー会社に委託し、火曜−日曜日に走らせている。
 両サービスを合わせた利用者は現在、一日平均二十人ほど。町社協事務局長の荒井信行さん(44)は「いかに使ってもらうかが事業継続の鍵」と指摘。「高齢者の閉じこもりを防ぐため、買い物ツアーやイベントなど外出の機会もつくって利用を促したい」と話す。
 チョイソコは二〇一八年七月、愛知県豊明市が介護保険外サービスの創出協定を結んでいたアイシン精機や、スギ薬局(同県大府市)と組んで始めた。集客を見込んだ市内の飲食店などが、店の前に停留所を置く代わりに運行経費の一部を負担している。今年十月から同県の岡崎市や幸田町、岐阜県各務原市、滋賀県竜王町などでも導入され、全国十地域に広がっている。
 一方、デイサービス(通所介護)送迎車で高齢者の日常的な移動を支援する試みも広がってきた。高崎市の介護事業者「エムダブルエス日高」は二年前から、AIによる独自の自動配車システムで送迎車三十八台の空席を活用し、デイサービス利用者が通所日以外の買い物などに使える送迎サービスを行っている。
 十月からは一部で六十歳以上の一般市民に対象を拡大。他の介護事業者とも連携して群馬、栃木、新潟の三県の七市町で計二百二十四台の送迎車を使い、サービスの実用化に向けた実証実験を進めている。エムダブルエス日高・事業管理課長の大江一徳さん(56)は「これからの時代、介護事業者も交通インフラの一端を支えていければ」と話す。

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