「横浜をばくち都市に変える決断、市民に」IR誘致問う住民投票、市民団体が市長に条例制定を要求

2020年12月24日 05時55分

IR誘致の賛否を問う住民投票の実施を求め、横浜市役所に向かう市民団体のメンバーら=横浜市中区で


 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の横浜市への誘致を巡り、市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は23日、誘致の賛否を問う住民投票を実施するための条例制定を林文子市長に直接請求した。林市長は地方自治法に基づき20日以内に市議会に条例案を提出する。 (丸山耀平)

◆署名20万人

条例制定請求書を手渡す市民団体の藤田みちる共同代表(左)

 同会メンバーは市役所を訪れ、条例制定請求書と、条例案提出に当たり住民投票実施に賛成意見を付けるよう求める林市長宛ての要望書を提出した。共同代表を務める小林節・慶応大名誉教授は「横浜をばくち都市に変えるのは大変重大な決断。市民に決めさせるべきだ」と訴えた。
 林市長は昨年8月、IRを誘致する方針を表明し、市は誘致に向けた手続きを進めている。林市長は今年10月の記者会見で、住民投票が実施され、反対多数となった場合は誘致を撤回する考えを示した。
 同会は9月から2カ月間で20万人余りの署名を集めた。市選挙管理委員会の審査で法定数の約3倍の19万3193人分が有効とされた。
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◆「やる意味あるか」「時期尚早」条例案可決に自公の壁

 住民投票の実施には、林文子市長が提出する条例案を市議会(定数86)が可決する必要があり、議席の過半数を占める自民、公明の動向が鍵を握る。両会派とも「しっかり議論する」としているが、内部では「やる意味があるのか」「時期尚早」という声があり、可決の見通しはたたない。
 無所属(5人)以外の4会派のうち、立憲・無所属フォーラム(20人)と共産党(9人)は署名集めに加わっており、条例案に賛成する見通し。一方、最大会派の自民党(36人)、公明党(16人)は「条例案が出てからしっかりと議論する」(自民の古川直季団長)、「条例案が提出されたら会派としてしっかり検討する」(公明の竹内康洋団長)と態度を明らかにしていない。
 ただ、両会派内からは消極的な声が聞こえる。ある市議は「市長選が来年夏に控える中で、法的拘束力のない住民投票をやる意味があるのか」と話す。「どんな施設になるか具体的に出ていない。住民投票は時期尚早」と話す市議もいる。また、別の市議は「支援者には反対の人もいる」としながらも「多角的に意見を聞き、最後に決めるのが議員の役割だ」と強調する。
 政府が示した基本方針は、IR整備地域に「地域における十分な合意形成」を求めているが、具体的な方法は示されていない。林市長は2月の市議会本会議で合意形成について「都道府県などとの協議、公聴会の開催、議会の議決」などに触れたが、住民投票には否定的な姿勢を示してきた。
 ただ、地方自治に詳しい東海大の岡本三彦教授(行政学)は19万人を超える人が署名したことは「IRについて『とにかく声を聞いて』という思いの表れ」と分析する。「住民投票は1つの政策に対し住民が意思を表明する重要な機会。市長選とは性格が異なる」と指摘する。
 元鳥取県知事の片山善博・早稲田大大学院教授(地方自治論)も「議会はなぜこのような請求が出てきたか考える必要がある。丁寧に扱って市民の意見が反映されるように審議すべきだ」と述べた。 (丸山耀平)

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