「使命感も限界だ」コロナに追われる医療現場…東京都内で横浜で厳しい年の瀬に

2020年12月24日 09時46分
 「使命感で持ちこたえてきたが、限界だ」。日本医師会(日医)の中川俊男会長は23日の定例記者会見でそう訴えた。日医など9つの医療団体が「医療緊急事態宣言」を発表し、東京都医師会の尾崎治夫会長は「真剣勝負の3週間」と感染防止をあらためて訴え、医療関係者による呼び掛けが続いている。だが、感染拡大は止まらず、医療現場の負担は限界に近づいている。

聖マリアンナ医科大横浜市西部病院のコロナ病棟で働く防護服姿の看護師=横浜市旭区で

◆横浜では…救急患者断るケースも

 「病床はかなり逼迫してきている。このままでは命に関わる救急患者も受け入れられなくなる」。横浜市旭区の聖マリアンナ医科大横浜市西部病院の桝井良裕・救命救急センター長は顔を曇らせる。
 センター内の集中治療室(ICU)のうち3床を重症用、高度治療室(HCU)のうち11床を中等症用のコロナ病床としている。23日時点で陽性患者6人、疑似症の患者5人が使用。発熱などで感染を否定できない疑似症の救急患者も、隔離された病床が必要だ。さらに市内の別の病院から陽性患者2人の受け入れ要請があった。
 「受け入れたいが、今いる中等症患者が重症化する恐れがあり、備えも必要。救急車からの搬送のためにも空けておきたいし、本当に難しい」
 冬本番を迎え、肺炎など患者が増えていることも状況を厳しくしている。発熱や呼吸器症状、エックス線で肺に影が写ると、感染を否定できないため一般病棟に入院させず、コロナ病床を使う。同病院では4~5月、感染が分かっていなかった入院患者を起点に計80人(同病院まとめ)の院内感染が起きたため、対応を徹底している。
 同病院は11月半ばまで救急搬送の打診の8~9割を受け入れてきたが、最近は75%ほどに低下し、毎日4、5件は断らざるを得ない状況。「即日転院になる場合がある」と伝えた上で診察し、転院先を探すが苦境はどこも同じ。「どこにも受け入れてもらえない状況になる一歩手前」と実感を語る。東京消防庁などからの受け入れ依頼も増え、厳しさは増すばかり。寒さや乾燥が本格化すれば「第3波に乗っかる形で第4波が来たら災害レベルだ」と指摘する。
 市民には「経済活動との両立は大事だが、家族以外の会食は避けてほしい」と対策の徹底を呼び掛ける。行政機関には「公的な病院のコロナ病床数を増やすなど、強制力をもって病院ごとの役割をはっきりさせる時期に来ている」と要望した。 (杉戸祐子)

新型コロナ感染の疑いがある人がPCR検査を受ける専用外来(河北総合病院提供)

◆東京都内では…高齢患者増え看護師らの負担増

 東京都内では、軽症・中等症患者を受け入れる病院の負担も増している。河北総合病院(杉並区)では10月中旬以降、入院患者が増え、年齢層も上がっている。
 「高齢の患者が増えるとケアすることも増える」
 永池京子・看護統括部長(64)は、看護師の負担が増していると話す。診療を補助する間だけでなく、食事の介助、清拭をする際にも防護服を着る。看護師からは、「クラスター(感染者集団)を発生させないという緊張感が常にある」「ストレスを発散できない」などの声が上がっているという。
 一時期、22床に減らしたコロナ病床を「第2波」の7月に36床に増やし、その体制を維持している。今月22日午前の時点で、疑いも含めて29人が入院中。12月に入ってからはベッドがほとんど埋まる日もある。
 先週末、都から「コロナ病床を増やせないか」と打診があったが、応じることは難しいという。岡井隆広副院長(58)は「これ以上、増やすと、救急や通常の手術を制限しなければいけなくなる」と現在の窮状を訴えた。 (藤川大樹)

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