カジノ「横浜に呼べたらいいなあ」菅首相が語った熱意 「忖度」の行き着く先は…

2020年12月24日 07時26分
<2020・かながわ 取材ノートから>(6)

菅氏の首相選出を祝い、弘明寺商店街に掲げられた横断幕=9月16日、横浜市南区で

 九月十六日、衆院神奈川2区(横浜市西、南、港南区)選出の菅義偉氏(72)が首相に指名された。横浜市からは初めての首相とあり、地元は祝賀ムードに包まれ、期待が高まっている。ただ、菅氏の影響力は県政や横浜市政に影を落としている。
 「菅義偉先生 首相総裁ご就任おめでとうございます」。菅氏の首相指名後、「お膝元」の横浜橋通商店街(南区)や「弘明寺商店街」(同)に横断幕が掲げられた。第九十九代首相にちなみ「九十九円セール」を開くなど熱狂に包まれていた。「要職に就く前は雨でも雪でも街頭演説していた。菅さんのような国会議員は他にいない」。区内のある商店主は称賛する。
 横浜市政を三年、県政を三年担当する中で、菅氏の影響力が年々高まっていくのを実感した。政策の背景を取材すると、市議や県議から「菅さんがこう考えているだろうから」という言葉をよく聞いた。ただ、菅氏本人の思いを直接聞いた人は少なく、高まる影響力とともに「忖度(そんたく)」も度合いを増している。
 「IR(カジノを含む統合型リゾート施設)は横浜に呼べたら良いなぁ」。菅氏に近いある地方議員は、首相就任後の菅氏と面会した際、初めて本人の口からIR誘致への熱意を聞いたと明かす。IR関連の発言はひと言だけだったが、菅氏は地方政治に表だって口出しすることがないだけに、この議員は驚いたという。菅氏の言葉を受けて、IR誘致は加速する可能性がある。
 二〇一九年のラグビーワールドカップ(W杯)横浜開催や、水道事業の民間委託、経済を優先する新型コロナウイルス対応も「菅氏の意向を忖度した政策」という。ただ、菅氏が本当にその政策を求めているのか、知っている人は少ない。
 「非世襲、無派閥のたたき上げ」の菅氏に「既得権を打破してほしい」との期待はあるだろう。しかし、自らの考えを説明する機会が少なく、ビジョンが分からないため、「国を預けて大丈夫か」と不安になる。丁寧に説明しなければ周囲の忖度を生み、行政運営がゆがむ。かつては寡黙さが支持されたのかもしれないが、国のリーダーとして言葉による発信を大切にしてほしい。 (志村彰太)

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