米国民に広がる接種の抵抗感、なぜ…? 著名な反ワクチン活動家・ケネディ氏に聞く

2020年12月24日 11時24分

オンラインのインタビューでコロナワクチンへの懐疑論を展開するロバート・ケネディ・ジュニア氏

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった米国では、国民のワクチンへの抵抗感が感染抑制の壁となりかねない。接種を望まない消極派は半数程度いるとされ、中には強い影響力を持つ著名人も。その1人でケネディ元大統領のおいのロバート・ケネディ・ジュニア氏(66)が本紙のオンライン取材に応じた。
 同氏は、暗殺された元大統領をおじ、元司法長官で同じく暗殺されたロバート・ケネディ氏を父に持つ。環境保護を手掛ける弁護士として活動する一方、子どもへの予防接種に懐疑的な主張を繰り広げ、米メディアでは「反ワクチン運動家」として扱われる。

◆元大統領のおい「副作用は命脅かす」「製薬会社の金もうけ」

 ケネディ氏は「すべてのワクチンに反対するのではない」としつつ、「コロナは若者らに(重症化などの)リスクはほぼゼロ。リスクが低い人に接種する正当な理由はない」と強調。米英で報告された副作用とみられるアレルギー反応を「生命を脅かすもの」と重視し、「開発期間が短すぎる」「製薬会社が、金もうけのために特許の切れた薬よりワクチンを優先している」などと疑問を並べた。
 感染状況が深刻な米国で、どうコロナを終息させるのかについては「バイデン新政権はワクチンでなく、効果的なものも報告されている治療薬に力を注ぐべきだ」と主張した。

◆「体内にチップを埋め込まれる」ネットに偽情報も

 米国では、過去に「ワクチンで子どもが自閉症になる」といった誤った情報が広まったこともあり、全般的にワクチンへの抵抗感が根強い。黒人らマイノリティー(少数派)には白人中心の医療制度そのものを敬遠する傾向もある。最近ではネットで「コロナワクチンを打つと体内に追跡用のチップを埋め込まれる」などの偽情報も拡散した。
 こうした中、抜群の知名度を誇る家系のケネディ氏がコロナワクチンに否定的な発信を続けることへの風当たりは強い。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は今月、「副作用について証明されていない説を会員制交流サイト(SNS)で100万人近くに広めた」などと非難した。
 ケネディ氏は自身の活動に関して「野心などはなく、民主主義や人々の健康を守ろうとしているだけだ」と説明。他のケネディ一族の反応は「好意的な人もいれば、そうでない人もいる」と述べるにとどめた。

◆「陰謀論や偽情報は社会に害」米FDAが警鐘

 ワクチンを巡る偽情報や陰謀論が広がる状況に、コロナワクチンを承認した米食品医薬品局(FDA)諮問委員会メンバーのポール・オフィット氏は「社会全体に害を与える」と警鐘を鳴らす。
 オフィット氏は「コロナワクチンは短期間で開発されたが、多様な人種、年齢、病歴の人々に一貫して効果が確認された。テストも数万人規模で行われた」と強調。「深刻な副作用をまったく起こさないという意味ではないが、それはすべての医薬品も同様だ」との見解を示した。
 過去には、はしかのワクチンについて誤った情報が流れ、多くの親が子どもの接種を控えたことで流行が再燃した例もあるという。「科学に基づいた慎重さと根拠のない反ワクチン運動は異なる」と指摘し、「これから接種が広がれば、米国民の抵抗感も和らいでいくだろう。私も早く接種したい」と語った。

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