【独自】上野で路上生活者の荷物に放火、無職の28歳容疑者を逮捕 3件の被害に関与か

2020年12月25日 06時33分

燃やされた路上生活者の男性の荷物=11月5日、東京都台東区で

 東京都台東区の上野公園脇の歩道で11月5日、路上生活者の男性の荷物が放火された事件で、警視庁捜査1課が建造物等以外放火と器物損壊の疑いで、荒川区町屋6、無職川崎竜二容疑者(28)を逮捕したことが、捜査関係者への取材で分かった。「ライターで火を付けたのは間違いない」と容疑を認めているという。
 捜査関係者によると、上野公園やその周辺では先月4日夜~翌5日未明、トイレットペーパーなどに火を付けられる被害が3件連続して発生しており、同課は防犯カメラの映像などから、いずれも川崎容疑者が関与したとみて調べている。
 逮捕容疑では、先月5日午前1時ごろ、上野公園脇の歩道で、路上生活をしている男性(72)が置いた毛布や肌着が入った荷物や立ち木を燃やしたほか、近くの輪王寺前の街路樹に放火したとされる。
 警視庁や東京消防庁によると、通行人が男性の荷物が燃えているのに気付いて119番し、駆け付けた消防隊員が約20分後に消し止めた。約2平方メートルが燃えたが、男性は出火当時は別の場所にいて、5日朝に荷物を取りに訪れて被害を知ったという。現場は、東京国立博物館や国立科学博物館、美術館などの文化施設が立ち並ぶ地域。

◆被害多発、泣き寝入りのケースも

 路上生活者への暴行や嫌がらせが後を絶たない。
 東京・池袋を拠点に生活する男性(59)は「物を壊されるのは日常茶飯事。寝ているところを蹴られた仲間もいた」と訴える。新宿で寝泊まりする男性(73)も「外出先から帰ったら、段ボールの家が壊されていた。面倒だから警察には相談していない」と話す。
 NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)などが2014年、都内の約350人を対象に実施したアンケートでは、約4割が襲撃を受けた経験があり、加害者の4割弱が子どもや若者だった。
 最近も、段ボールハウスに火の付いたたばこを投げ入れられたり、酔っぱらいに段ボールを蹴られたりした人から、同法人に相談があったという。
 大西連理事長は「野宿生活に引け目を感じて、警察に被害届を出さない人もいる。それを見越して、嫌がらせのターゲットにされている可能性もある」と指摘する。背景には差別や偏見があるといい、同法人は都に対し、都内の小中学校で路上生活者をテーマにした人権学習を取り入れるよう求めている。(奥村圭吾、天田優里)

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