アキタフーズ元代表、政治家との関係誇示、農水族に照準 河井元法相が仲介 吉川元農相の現金授受疑惑

2020年12月26日 06時00分

吉川元農相の事務所の家宅捜索を終え、押収物を車に積み込む東京地検特捜部の係官ら=25日、札幌市で

 吉川貴盛元農相(70)は、農林水産分野に強い「農水族議員」として、業者に寄り添う姿勢を見せていた。鶏卵業界を代表するアキタフーズ元トップとの間の現金授受疑惑は、東京地検特捜部によって本格的に捜査されることになった。
 「農業は地元北海道の基幹産業だから、しっかりやらないといけない」。安倍内閣で農水副大臣に就いた2013年ごろから、吉川氏は周囲に農政への思いを語るようになったという。
 吉川氏は故鳩山邦夫元法相の秘書などを務めた後、北海道議を経て1996年、衆院議員になった。経済の中心地である札幌市を地盤とし、経済産業副大臣を務めるなど「商工族」として知られていた。
 だが、農水副大臣になってからは「農水族」に転じる。北海道の農協幹部は「副大臣になったころは、あまり農業のことを知らなかったが、その後、かなり勉強された。私たち現場の意見に耳を傾け、行動してくれる人だった」と評する。
 ある自民党議員は「選挙に強くなく、二度落選していた。農業票で勝負しようと切り替えたのでは」と推察する。
 吉川氏は、自民党内の農政分野で影響力を持つ「インナー」と呼ばれる非公式幹部会のメンバーに選ばれ、党農林・食料戦略調査会会長代理にも就いた。18年10月、農相に就任。アキタ社の元代表から初めて現金を受け取ったとされるのは、その翌月だ。
 「吉川氏と元代表をつないだのは河井克行元法相」。元代表に近い関係者は、こう証言する。
 河井元法相と吉川氏は衆院選初当選の同期で、河井元法相は自身のツイッターで「家族ぐるみのお付き合い」と紹介している。
 一方のアキタ社は、本社のある広島を地盤とする河井元法相を長年、政治献金などで支援。地元関係者は「元代表は河井元法相と近しいようで、『河井さんのパーティー券を買ってやってくれ』と頼まれたことがある」と振り返る。
 売上高が400億円に上る業界2位の鶏卵会社を一代で築き上げた元代表。アキタ社関係者は「『政治家が動いてくれなきゃ、物事が通るわけない』と、よく言っていた。本人としては、業界全体のために動いているという感覚で、あちこちに働きかけていたんだと思う」と語る。
 元代表は東京・永田町に頻繁に現れ、政治家に陳情。農水省を訪ねては、職員との面会を重ねた。ある幹部職員は「卵の情勢について熱心に説明を受けたことがある」と話す。
 日本養鶏協会では副会長や特別顧問を歴任した元代表。協会の元幹部は「『政治家とは公明正大に付き合わなければならない』が口癖だった。もし裏で現金を渡していたとすれば残念だ」と声を落とした。(小沢慧一、山下葉月、沢田千秋)

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