安倍前首相、不起訴を逆手に潔白主張 資料示さず理由も語らず 

2020年12月26日 00時01分

参院議院運営委を終え頭を下げる安倍前首相=25日、国会で

 「桜を見る会」前日の夕食会を巡り、安倍晋三前首相は25日、衆参両院の議院運営委員会で、国会の場で事実と異なる答弁を繰り返していたことを正式に認めた。だが、夕食会の費用を確認できる明細書など新たな資料の提出はなく、なぜ政治資金として扱わなかったのかの理由も語らずじまい。前日の記者会見で誓った「一点の曇りもない透明性」には程遠く、東京地検特捜部が自身を不起訴としたことを逆手に潔白を主張し続けた。(木谷孝洋)
 特捜部は、夕食会の会場となったホテルへの支払いを政治資金収支報告書に記載しなかったとして、安倍氏の公設第一秘書を政治資金規正法違反罪で略式起訴し、罰金刑が確定。安倍氏は参加者の会費の不足分は事務所の手持ち資金から立て替えたと説明し、補填ほてん総額は2016~19年の4年分で700万円余に上る。
 焦点の1つは、報告書に記載しなかった理由だ。共産党の宮本徹氏は衆院の質疑で、不記載が始まった14年は、収支報告書への虚偽記載疑惑で当時の小渕優子経産相が辞任した時期と重なると指摘。「多額の利益供与を隠すためだったのではないか」と追及した。
 安倍氏は、夕食会の会計処理を担当していた元秘書側に弁護士を通じて経緯を問い合わせたと明かしたが「(元秘書側は)この問題で接触を図るべきではないということで『答えられない』とのことだった」とゼロ回答。「私が勝手に申し上げることはできない」と押し通した。
 一方、検察の捜査で安倍氏側の補填額は確定したが、夕食会での食事内容や、実際に誰がどんな形でホテルに料金を支払ったのかははっきりしない。野党はホテル発行の明細書や領収書が実態解明の鍵として提出を求めた。
 だが、安倍氏は明細書について「ホテルの営業上の秘密があり、公開を前提に出すことはできないとのことだった」と拒否。事務所が紛失したとされる領収書の再発行の依頼は「検討する」と答えるにとどめた。
 真相究明に協力的な姿勢を見せない一方で、検察の結論を盾に自らは潔白だと力説した。
 補填は利益供与に当たり、選挙区内の有権者への寄付を禁じた公職選挙法に抵触するとの指摘に「(補填は)利益供与に当たらないという判断を捜査当局がした」と繰り返し主張。「選挙を9回戦ってきたが、常に圧倒的な勝利をいただいており、利益を供与して票を集めようとは、つゆほども考えていない」とも反論し、公選法に触れるかどうかとは直接関係ない論理を持ち出した。
 質問した野党議員からは「聞かれていないことを延々と答弁し、時間稼ぎをする姿勢は首相在任中と同じだ」「答えになっていない」と批判の声が上がり、立憲民主党の福山哲郎幹事長は質疑後、記者団に「疑惑は深まった。国会でうそをつき続けた首相の姿勢として到底納得できない」と強調。虚偽の証言をした場合、偽証罪に問われる証人喚問を含め、来年の通常国会でも説明責任を求め続ける考えを示した。

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