吉川元農相捜査 鶏卵業との関係解明を

2020年12月26日 06時33分
 衆院議員を辞職した吉川貴盛・元農相の事務所に検察の家宅捜索が入った。鶏卵業者から多額の現金が渡った収賄容疑だ。農相の職務権限とどう絡んでいるのか、検察には徹底解明を望みたい。
 吉川氏が農相を務めたのは、安倍政権下の二〇一八年十月から一九年九月にかけてだ。この大臣在任中に三回にわたって、鶏卵生産大手「アキタフーズ」の元代表から現金計五百万円を受けた疑いが表面化している。
 二回は大臣室で、一回は都内のホテルで業者と二人きりで行われたともみられている。アキタ社関係者や元代表が周囲に「法に触れるお金だと思っていた」と話していることも判明している。
 この金銭のやりとりは、吉川氏に関連する政治団体の政治資金収支報告書には一切、出てこない。金銭授受が事実ならば、これだけで政治資金規正法の不記載に問われかねない。しかし、いったい何の意図があっての金銭のやりとりであろうか。
 ちょうど鶏卵業界ではこの時期、家畜のストレスを減らす飼育方法の国際機関の基準づくりが進んでいた。「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に基づく考え方である。それに反するとされたのが日本のケージ飼育である。
 実際に一八年九月ごろに、日本の飼育法に否定的な基準案が示された。かつ卵の価格が下がった場合に国が出す補助金の充実もまた望まれていた。
 アキタ社の元代表は同年十一月になると、業界団体の幹部として大臣室で吉川氏と面会した。そして、政府に適切な対応を求める要望書を提出するなどしていたのである。
 吉川氏だけではない。アキタ社の元代表は元衆院議員で農林水産分野を担当する内閣官房参与だった西川公也氏にも「現金数百万円を渡した」と周囲に説明しているとされる。内閣官房参与は非常勤の国家公務員だが、首相に情報提供や助言を行う。西川氏は農林水産業の振興が担当分野で、一七年十一月から務めていた。
 これは鶏卵業界による政界工作の構図ではなかろうか。吉川氏は金銭について「返すつもりだった」と検察の事情聴取に説明し、既に衆院議員を辞職しているものの、金銭授受は贈収賄の疑惑を持たれるのは当然である。
 検察は農林水産分野に影響力を持つ「農水族」との関係を徹底的に洗い出してほしい。

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