安倍氏虚偽答弁 修正だけでは済まない

2020年12月26日 06時34分
 国権の最高機関である国会で、首相が虚偽答弁を繰り返したことは民主主義の根幹を揺るがす重大な行為だ。答弁修正で済む話ではない。議員辞職を含めて責任の取り方を熟慮すべきではないか。
 「桜を見る会」の前日に、安倍晋三前首相の政治団体が主催した夕食会を巡る問題が取り沙汰されてから一年以上が経過した。
 この間、安倍氏は首相として一貫して「後援会としての収入、支出は一切ないことから、政治資金収支報告書への記載は必要ない」「事務所が(差額を)補填(ほてん)した事実も全くない」などと、野党側の追及をかわし続けた。
 衆院調査局によると、これらの「虚偽答弁」は百十八回に上る。恐るべき「うその積み重ね」だ。
 夕食会の収支を巡り、安倍氏の秘書が政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴されたことを受け、安倍氏は衆参両院の議院運営委員会に出席し、自らの答弁に「結果として事実に反するものがあった」として修正を申し出た。
 会計を担当する秘書が安倍氏に事実を伝えなかったためとしているが、問題が取り沙汰された後、安倍氏自身が事実の把握にどれだけ努めたのであろうか。「私が知らない中で行われていた」との説明も、にわかには信じ難い。
 虚偽の答弁をすれば偽証罪に問われる証人喚問を行い、国会として真相を解明すべきではないか。
 国会では、政府側が偽りなく誠実に答弁することが大前提だ。説明に誤りがあれば、国会は国政の調査や行政の監視という役割を果たせなくなる。国会で首相が虚偽の答弁を続けたことは、国会を愚弄(ぐろう)し、三権分立を損ない、国民を欺く重大な行為である。
 首相は「道義的責任を痛感している」とは言うものの、衆院議員の職にはとどまるという。国会で虚偽答弁を続けた重みに比べて、身の処し方が軽くはないか。答弁修正だけで幕引きは許されない。
 国会の会議録には安倍氏による答弁内容がそのまま残っている。安倍氏側から訂正の申し出があったとしても、完全に抹消したり、ほかの言葉に置き換えるのではなく、発言内容はそのまま残した上で、訂正する旨を付記する形にはできないか。
 本会議や委員会での発言が会議録から削除されることはこれまでもあった。多くが不用意な発言であり、正式な記録からは抹消したかったのだろうが、首相が国会で虚偽答弁を続けた歴史的事実まで消し去ってはならない。

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