<コロナ禍の埼玉2020回顧>(4)飲食 生き残る道を探る

2020年12月26日 07時34分

コロナ禍での厳しい経営状況を語る玉城武好さん=いずれもさいたま市浦和区東高砂町の命薬で

 例年なら忘年会でにぎわうはずの十二月中旬。JR浦和駅近くの沖縄料理・居酒屋「命薬(ぬちぐすい)」の店内は空席が目立ち、数人の客が静かにグラスを傾けていた。「五人以上の宴会は、ほぼゼロ。今月の売り上げも昨年の半分くらい」。二〇〇五年から同店を経営する玉城武好さん(56)がぼやく。「リーマン・ショックの比じゃないほど切迫している」
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 新型コロナウイルスの影響が出始めたのは春ごろから。歓送迎会や卒業シーズンなどでの団体客のキャンセルが相次いだ。
 県は四、五月の一定期間、休業した中小企業などに最大三十万円の支援金を支給。十分な額ではなかったが、玉城さんは「早くコロナを終わらせたい」との思いで休業したり、テークアウトのみの営業にしたりした。四月の売り上げは例年の半分以下に落ち込んだが、「年内には緩やかに終息するだろう」と楽観視もしていた。
 「第一波」が去り、五月下旬に国の緊急事態宣言が全面解除されてからは徐々に客足が戻った。夏の第二波も乗り切り、秋には売り上げが例年の八、九割まで回復。「団体は相変わらず少なかったが、お客さんが感染対策ではしご酒を控え、うちだけで切り上げるようになって客単価が上がった」。年末に向けて手応えを感じていたところで、第三波に見舞われた。
 現在の客層は常連が中心。飛沫(ひまつ)を飛ばさないよう静かに飲食し、店内が混み合ってくると退店する人もいる。「日々のストレスを発散してもらうのが居酒屋の役目。わいわい楽しんでもらえない現状は歯がゆい」ともどかしさが募る。
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 県内の飲食店約二千五百店が加盟する、県料飲業生活衛生同業組合の飯野健三理事長(75)によると、収入減で家賃が払えなくなり、廃業する店も出ているという。飯野さんは「頑張っている店も助成金などで何とかしのいでいるのが現状。年末や年度末のタイミングで廃業を考えている店も多い」と危機感を口にする。
 県は感染対策として、今月四日から一部地域の飲食店などに営業時間の短縮を要請しているが、終息の兆しは見えず、期間は二度延長されて来月十一日までとなった。玉城さんの店がある浦和地域は要請の対象外とはいえ、余裕はない。
 「今の状況が三、四カ月続けば経営がかなり厳しくなる。店内は換気や検温、消毒など対策を徹底しているので、何とかお店に来てほしい」と玉城さん。客からの「頑張って」というねぎらいの言葉に支えられ、同業の仲間とは補助金や食材の仕入れなどの情報を交換しながら、生き残る道を探っている。 (杉原雄介)

例年なら忘年会でにぎわう12月中旬の午後8時ごろ、命薬の店内は空席が目立っている

◆休業や営業時間の短縮 県の要請続く

 国の緊急事態宣言を受け、県は4月13日からキャバレーやナイトクラブなど接待を伴う飲食店に休業を要請した。17日には、居酒屋などの飲食店に酒類提供を午後7時までとするよう要請。5月25日に午後10時までに緩和し、休業要請と併せて6月17日に解除した。同月下旬以降、キャバクラやホストクラブでクラスター(感染者集団)が相次いで発生した。
 10月23日に政府の飲食業支援策「Go To イート」のプレミアム付き食事券の利用が始まったが、感染者増で県は約1カ月後、新規発券を無期延期に。12月4日にはさいたま市大宮区、川口、越谷市の酒類提供の飲食店とカラオケ店に営業時間を午後10時までとするよう要請。期間は二度延長され来年1月11日までとなっている。

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