孤立防ぐ「やさしい日本語」 外国人子育てママに支援メール

2020年12月26日 12時08分
自治体が配信した「きずなメール」を見せる大島由起雄さん=東京都豊島区で

自治体が配信した「きずなメール」を見せる大島由起雄さん=東京都豊島区で

 日本に住む外国人の母親支援のため、東京のNPO法人が、日本語を母語としない人にもわかりやすいよう言い換えなどをした「やさしい日本語」で定期的に支援のメールを送るプロジェクトを計画している。子育ての助言や医療の情報などを送り、孤立を防ぐのがねらい。現在、インターネット上で制作資金を募っている。(早川由紀美)
 計画しているのは、NPO法人きずなメール・プロジェクト(東京都杉並区)。理事長の大島由起雄さん(54)は10年ほど前から、母親に送るきずなメールを作成、自治体に提供する事業に取り組んできた。妻の妊娠中に、胎児の日々の成長を紹介する洋書に出合ったのがきっかけという。
 「○○ちゃんが生まれて何カ月、誕生から何日目です」で始め、離乳食の始め方など成長に応じた助言をつづる。提供するメールは妊娠中から約4年間、500通を超える。

◆コロナ禍で弱者の困窮懸念

 現在、文京区や中央区、千葉県松戸市、相模原市など約30の自治体が採用。自治体ではそれぞれの相談窓口や母親対象の事業などの情報を加えてメールやLINE(ライン)で配信している。
 今回、支援できる対象を増やしたいと「やさしい日本語」でのメール制作を計画した。「やさしい日本語」は阪神大震災の際、外国人に必要な情報が伝わりにくかったことから研究や普及の取り組みが始まった。
 11月には広島県でベトナム人技能実習生が生まれたばかりの女児を放置し死なせたとして逮捕される事件も起きている。コロナ禍で、弱い立場の人たちの生活の困窮や孤立がよりいっそう進むことを大島さんは懸念する。「対象者は少ないかもしれないが、助けになりたい」と話す。
 団体のウェブに登録した人に無料で配信することを想定している。来年1月22日まで、やさしい日本語への翻訳など、制作資金200万円をインターネットの募金サイト「READYFOR(レディーフォー)」で募っている。

◆災害時の情報伝達で広まる

 やさしい日本語は、災害時の情報伝達手段として広まったが、現在は横浜市など英語などの外国語とともに、やさしい日本語で情報提供をする自治体もある。
 文化庁もガイドラインや書き換え例を作成。一文を短くし、文末は「です」「ます」で統一。ふりがなをつけることなどを提言している。「大家」「出生届」はそれぞれ「家を貸す人」「赤ちゃんが生まれた時にまちの役所に出す紙」などと、わかりやすくする。受け身や二重否定も使わない。例えば「市町村で課税されます」は「市町村へお金を払います」に言い換える。

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