「ギブ・アンド・テークじゃないから、申請しない」 会社が「休校助成金」の利用拒否…体調悪化で女性退職

2020年12月28日 05時50分

 
 新型コロナウイルスの感染拡大で子どもが学校を休む際に働く親も休みを取りやすくする政府の助成金制度。3月の創設以降、予算執行率は4分の1に満たない。助成を申請する勤務先の企業などが業務の停滞などを嫌って利用をためらっているためだ。
     
 
 「従業員の命や健康、家族より仕事を優先させた会社に不信感を覚えた」
 高橋純子さん(45)=東京都新宿区=は、勤めていた学習塾運営会社に小学校休業等対応助成金の利用を拒否され、その後、体調悪化で退職を余儀なくされた。

◆フルタイムで小学生2人の息子育てながら

 小学6年と2年の息子を育てながらフルタイムで働き、広告制作などを担当。勤続20年で仕事にやりがいを感じていた。
 状況が一変したのが一斉休校が始まった3月。近所に頼れる親族もなく、子ども2人を「丸1日、自宅に放置して働いていた」という。5年前に離婚を経験。家計を1人で支えていたため、欠勤で収入が下がるのは避けたかった。
 助成金制度を知り、収入減を気にせずに子どもの面倒も見ることができると期待して、会社に問い合わせた。しかし、会社から「ギブ・アンド・テークじゃないから、申請しない」と言われた。コロナ禍でも業務はある以上、会社側には利点がないとの考えだった。

◆会社との関係悪化恐れ、どこにも相談できず

 高橋さんは労働局に相談することも考えたが、会社との関係が悪化することを考えてためらった。子どもを自宅に置いたまま1日10時間以上働くことに強いストレスを感じるようになり、勤務中に涙が止まらなくなった。病院で適応障害と診断されて休職し、8月末に退職した。
 本紙は、会社側に事実関係の確認と見解を求める質問書を送ったが、担当者は「回答を見送る」とした。
 高橋さんは「制度をつくったなら、企業に対して申請の強制力を持たせてほしかった。できないなら、労働者個人の申請も認めるようにすべきだ」と訴える。

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