<日本の岐路 12月をつづる>空気が読めない首相 政治部長・高山晶一 

2020年12月29日 19時27分

25日、記者会見で、自身の多人数会食のことについて頭を下げる菅義偉首相

 世襲議員ではない苦労人という出自を看板にしてきたのに、世論の空気が読めない人なのか―。今月、菅義偉首相が、不用意な言動を繰り返しては批判を受けたのを見て、不思議な思いを抱いた。
 最初は4日の記者会見。日本学術会議問題で6人の任命を拒否した際、これほど反発が広がると思っていたのかとの質問に、首相は笑みを浮かべながら「かなり(反発が広がることに)なるのではないかなとは思っていました」と答えた。
 11日のインターネット番組では、「ガースーです」と自己紹介して批判を受けた。「いつの間にか『Go To』が悪いことになってきちゃったんですけど」とも話している。
 「Go To トラベル」一時停止を決めた14日夜、東京・銀座のステーキ店で、新型コロナウイルスの感染リスクが高まるとされる人数を大きく上回る8人で会食。その後「国民の誤解を招く」と陳謝したが、「何が誤解なのか」と疑問視する声が上がった。
 9月の政権発足前後、首相は自らを「普通の人間」と説明。「現場の声に耳を傾け、何が当たり前なのか見極める」と語っていた。だが、新型コロナの感染が拡大し、政府の対応が迷走する中で、政権を取り巻く空気が変わったのに気づくのが遅れた。「何が当たり前か」をよく見極められなかったということだろう。
 今月の各種世論調査で、内閣支持率は大きく下落。12日の毎日新聞社などの調査では支持率40%(前回比17ポイント減)で、不支持率と逆転。19、20両日の朝日新聞社調査も支持率39%(同)、26、27両日の読売新聞社調査は支持率45%(前回比16ポイント減)だった。第2次安倍政権が、発足から3カ月後の共同通信社調査(2013年3月)で支持率が71・1%あったことと比べれば、やはり勢いを失うのが早い。
 菅首相はその後、夜の会食を自粛するなど、イメージ回復に努めている。しかし、「桜を見る会」前日の夕食会を巡り、官房長官時代に安倍晋三前首相を擁護した問題でも風当たりは強まっている。また空気を変えるのは容易ではない。
 21年は10月の衆院議員任期満了までに、必ず衆院選が実施される。首相の自民党総裁任期も9月まで。菅政権が続く保証はない。
 年明け以降も、「Go To トラベル」を再開するのか、新型コロナ対策特措法をどう改正するかなど、国民の命に関わる重大な判断を迫られる。今度は世論の空気を見誤らずに判断できるかが問われる。
 ちなみに来年は東京都議選もある。平成以降、「都議選後、同じ年に行われる衆院選」は劇的な結果になっている。1993年には非自民党政権が誕生。2005年は郵政民営化を争点にした劇場型選挙で自民が圧勝した。09年も政権交代が起き、民主党(当時)中心の非自民政権が誕生。17年は民進党(同)が分裂し、小池百合子都知事が立ち上げた希望の党(同)も失速して自民が大勝した。

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