車いすでも脱ぎ着しやすいダウンポンチョ ビームスと開発した元レーサーのこだわり

2020年12月29日 21時00分

現行モデルのダウンポンチョを着る長屋宏和さん。手にしているのは新作用の生地=東京都渋谷区のビームス本社で(市川和宏撮影)

 自動車のF3レーサー時代に事故で負傷し、車いす生活となったデザイナー長屋宏和さん(40)=東京都渋谷区=が、アパレル大手ビームス(同区)と共同で、車いす利用者が使いやすいダウンポンチョの新作を製作している。着脱のしやすさや持ち運びやすさなど機能性だけでなく、ファッション性も追求。「車いすでもおしゃれは楽しめる。ポンチョが外出のきっかけになり、前向きな気持ちになってもらえれば」と話す。(西川正志)
 長屋さんは脇から下がまひし、指が動かないため、袖のあるダウンジャケットだと1人で脱ぎ着ができない。ダウンポンチョなら頭からかぶるだけで済むため、着脱は簡単。高級ダウンを使い、暖かさも十分だ。現行モデルは発売から6年で、1000着ほど売れた。
 新作は型は同じだが、近年流行のミリタリー風の服に多用される生地にキルティング加工を施すなど、ファッション性を意識した。ビームスのクリエーティブディレクター窪浩志さん(58)は「ファッションアイテムとしても魅力的。アウトドアでも活躍し、健常者も使える」と太鼓判を押す。

新作に使われる新しい生地(手前)と現行モデルのダウンポンチョ

 長屋さんは2002年、レース中の大事故で頸椎を損傷した。以来、車いす生活を余儀なくされ、おしゃれもできなくなった。大好きなジーンズも尻の縫い目が床擦れを招くため、はけなくなった。
 「おしゃれまで我慢したくない」と、ジーンズ作りに挑戦した。尻の部分を一枚布にしつつ、ジーンズの重要なデザインである縫い目をプリントで表現。試作を繰り返し、06年に自身のブランドを立ち上げ、ネットで販売した。
 そのころ、知人を介して知り合った窪さんにジーンズを紹介した。完成度の高さに驚いた窪さんは、ビームス店舗でも取り扱うよう会社に掛け合った。だが、当時はバリアフリー化されていない店舗もあり、見送られた。
 長屋さんはその後も精力的に新商品を開発。ダウンポンチョは、ダウンジャケットを脱げずに体温が上がりすぎて体調を崩した自らの経験が基になった。14年に現行モデルを発売。その4年後、会員制交流サイト(SNS)で再び窪さんとつながった。この時、ビームスには以前なかった他メーカーとの協業部門ができており、共同製作が実現した。

新作のダウンポンチョ用に改良中の生地

 「ビームスが好きで、ずっと一緒に仕事をしたかった。新作はビームスのデザイン力が入り、斬新です」と長屋さん。自信作は今シーズン中の発売を目指している。
 ダウンポンチョの現行モデルは3万9000円(税抜き)。新作は価格未定で、ネット通販で販売する予定。問い合わせは、長屋さんのブランド「ピロレーシング」のサイト(同名で検索)へ。

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