日銀のETF購入、年7兆円超える 異例の買い支えには副作用も

2020年12月30日 06時00分
 日銀が金融緩和の一環で買う上場投資信託(ETF)の今年の購入額が、初めて7兆円を超え過去最高となった。保有残高は民間推計で45兆円超に上り、日銀が日本一の国内株の保有者になった。新型コロナウイルスの感染拡大で一時暴落した株式市場を支える一方、実態とかい離した株高を招く一因になるなど副作用も大きくなっている。

◆実態伴わない株高を招く

 新型コロナで日経平均が一時1万7000円を割り込んだ3月、日銀はETFの買い入れ限度額を年間12兆円と従来より倍増させた。3月に1兆5484億円、4月には1兆2272億円を購入。いずれも、2010年から13年までの各年間合計を単月だけで上回った。10月にはこれまで年間最大だった18年の6兆5040億円を抜き、今月22日に7兆円の大台に達した。
 前例のない規模のETF購入は、新型コロナによる経済危機にもかかわらず、株価を感染拡大前の水準以上に押し上げる一因になった。
 ETF購入は、リーマン・ショック後の株価安定策として、白川方明前総裁時代の10年12月に開始。10年間の購入総額(29日現在)は、取得時の価格で35兆3690億円に上る。当初の買い入れ限度は年4500億円だったが、黒田東彦氏が13年に総裁に就くと異次元の金融緩和の一手段に位置付け、拡大の一途をたどった。

◆日銀が73社の「主要株主」に

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏の試算では、日銀が保有するETFを時価で計算すると45兆円超。今年11月には保有残高で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回り日本一となった。
 45兆円超は、東京証券取引所一部の時価総額の7%に相当する。日銀が10%以上の株を保有し「主要株主」となるのは11月末時点で、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど73社にのぼるとみられる。
 企業の業績や経営方針が株価へ適切に反映されにくいという弊害があり、日銀内部からも副作用を指摘する声があがる。だが、大量の保有分を一度に市場で売れば暴落は避けられない。株価に影響を与えない規模で少しずつ手放せば100年以上かかる計算で、解決は見通せない。(皆川剛)

上場投資信託(ETF) 日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動する金融商品。TOPIX連動型のETFを買えば、東証一部上場のすべての企業の株を少しずつ買うのと同じ効果がある。株と同様に市場で売買できる。日銀は信託銀行を通じて主にTOPIX連動型を買っている。

東京都中央区の日銀本店

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