<コロナ禍の埼玉2020回顧>(7)観光 小江戸、存続へ奮闘

2020年12月30日 07時17分

商店街のために奮闘する藤井清隆さん=川越市で

 昨年の観光客数が七百七十五万人超と過去最高を更新した川越市。しかし、今年は一転、新型コロナウイルスの感染拡大で観光客は激減した。
 「『例年通り』が一切通じない一年になる」。小江戸・川越を象徴する「蔵造りの町並み(一番街)」から観光客の姿が消えた四月下旬、「川越一番街商業協同組合」の新理事長に選ばれた藤井清隆さん(48)は気を引き締めた。
 一年の観光シーズンが始まる小江戸川越春まつり(三月末〜五月初旬)から、川越観光のハイライトとなる川越まつり(十月)まで、一番街周辺のイベントはすべて中止に。藤井さんは「店を臨時休業したり、開けていてもお客さんゼロが続いたりしたお店のために、組合費の徴収を十二月までやめ、各店や組合が使える補助金探しを始めた。パソコンやスマホが苦手な年配の商店主のサポートも、ほとんど日課になった」と振り返る。
 組合で消毒液の次亜塩素酸水を作る機械を購入し、ディスペンサーも全軒に配布。各店がいつでも消毒液を無料で使えるようにした。「商店街全体でコロナ対策に取り組んでいることが見えることで、お客さんの安心にもつながる」
 市観光課によると、市内三カ所の観光案内所を利用した観光客の数は、四月が昨年の1%、五月は0%とどん底まで落ちた。九月になると51%、十月は60%と回復傾向となったが、十二月に入ると感染が再び拡大。政府の観光支援事業「Go To トラベル」が全国で一時停止されるなど、強い逆風にさらされたまま年を越そうとしている。
 「今後、お客さんが消える事態になっても対処できるようにしよう」と、組合は現在、インターネット上で一番街や店の中を散策し、商品の注文もできる「バーチャル(仮想)商店街」の開設準備を進めている。
 仮想の蔵の街で店内に入ると、上下、左右を三六〇度にわたって高精細な画像で見られる。商品によっては、クリックすると通販サイトに飛んで購入もできる臨場感たっぷりの画期的な取り組みとなる。来年二月の完成を目指し、商店街の七割が参加予定だ。
 「例年通りのことはできないが、商店街のために力を発揮できる機会でもある。全力で取り組みたい」と藤井さん。否応なくコロナ禍に対応せざるをえない現状と向き合い、走り続ける。 (中里宏)
 =終わり

◆「GoTo」で一時回復も 第3波で支援停止

 大型連休前の四月下旬、秩父地域の自治体は観光客に同地域への来訪を控えるよう求める「お願い」を発表。観光スポットに来訪自粛を呼び掛ける立て看板などが設置された。
 五月二十五日に緊急事態宣言が全面解除されると、外出自粛が緩まり、レジャー施設なども再開。七月に始まった観光支援事業「Go To トラベル」も追い風となり、県内観光地でも徐々に人出が回復した。
 しかし、「第三波」でGoToトラベルは十二月二十八日〜来年一月十一日の一時停止が決定。これに併せて同期間、県やさいたま市はクーポンの配布や宿泊施設の割引など、それぞれ独自に行っている観光支援事業を停止した。

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