NEWSその後

2020年12月31日 06時58分
 今年もきょうで最後。世の中がコロナ一色になっても、TOKYO発では、ほっとできる話、楽しくなる話、前向きになれる話を掲載してきた。3本の記事の「その後」を紹介しよう。

【7月12日掲載】 メロンが育つ商店街

 「メロン育成中」ののぼり旗がはためく葛飾区の堀切ラッキー通り商店街。マスクメロンの模様のように細い路地が交差する下町で、各店舗や住民がメロン栽培に取り組んでいることを7月12日の紙面で紹介した。メロンだけではなく、笑顔も活気も育てる商店街では、メロン名人も大活躍。取材時はまだ、こぶし大だった商店街メロン。さて、今年の収穫は? 

有馬久江さんが育てた優勝メロン

◆農園構想も野望は成熟途中

 立派な温室ではなく、東京の街角で、しかも軒先のプランターで育てられた商店街メロンは今年も確かに実った。出来栄えを見せ合う品評会が八月に開かれ、店主らが重さで順位を競った。
 一位は住民として参加した有馬久江さん(77)。栽培を始めて四年目で手にした栄冠に「諦めずに続けてよかった」と喜んだ。贈られたのはメロン色のトロフィー。長雨と日照不足に見舞われ、重さ一・三キロでの優勝は過去五回で異例の軽さだった。
 例年であれば会場でメロンを振る舞い、成長を見守ってきた地域の人たちと収穫の喜びを分かち合うはずだった。コロナ禍でやむなく取りやめたが、メロンを育てる側だけでなく、見守る側も楽しめるのがこの取り組みのミソ。甘いメロンを一度味わえば、育てる人との接し方も変わってくる。

8月の品評会でトロフィーを受け取る有馬久江さん=いずれも堀切ラッキー通り商店街提供

 商店街にメロン栽培用の農園をつくる構想もあり、店主らの野望はまだ成熟の途中。旗振り役で薬局店主の岩崎修さん(67)は「来年こそは制限なく目いっぱいやりたいよね」と、コロナ前の日常が戻る日を首を長くして待っている。キリンを模した堀切地域のゆるキャラ「ほりきりん」のように。 (文・加藤健太)

【7月8日掲載】ドライブインお化け屋敷

 突然目の前に現れるお化けに、思わず絶叫! こんなお化け屋敷の醍醐味(だいごみ)も、新型コロナウイルス対策ではNG。いや、待て。車の中なら大丈夫では…。車の窓に血まみれのお化けがへばりつき、車体を揺らす。でも直接触れることはなく、絶叫しても飛沫(ひまつ)の拡散は抑えられる。そんなコロナ禍から生まれた「ドライブインお化け屋敷」を七月八日に紹介した。季節はもう冬。稼ぎ時の夏を過ぎても、お化けはまだ、いた!

◆コロナに負けず 夢は世界進出

東京タワーで開催されている「ドライブインお化け屋敷」

 東京タワーの一階、暗い室内に軽乗用車が二台、並ぶ。来場者が乗り込むと、ホラーショーが始まる。窓外にお化けがへばりつき、頭上にも…。今月十二日〜来年一月十一日の期間限定で「ドライブインお化け屋敷」が復活、楽しく恐ろしい世界へいざなっている。
 車に乗ったままだから、お化けとの直接の接触は避けられ、絶叫しても飛沫の拡散を抑えられるエンターテインメントは七月、港区でお披露目された。これが大人気となり、秋は水戸市や福岡市へ遠征した。
 事業化した「怖がらせ隊」(杉並区)はコロナ禍以前、ホテルなどを会場にして、お化け屋敷の“出前”に応じていた。今出彩賀(いまいであやか)社長(34)は「従来の仕事は新型コロナの影響で中止になり、打撃を受けた。それでも、感染対策と両立した生き残り方ができている」と手応えを語る。
 「ドライブイン−」を発案した同社のお化け屋敷プロデューサー・岩名謙太さん(26)は、棺おけや個室トイレを舞台に恐怖を感じさせる「絶叫棺桶(かんおけ)」「戦慄(せんりつ)!トイレの花子さん」など感染リスクを抑えたホラー空間を次々に発案。「来年は海外で披露できれば」と今出社長の夢は膨らむ。 (文・梅野光春、写真・潟沼義樹)

【10月15日掲載】地域貢献で家賃 「ぶんじ寮」

 「家賃の一部は地域貢献で払ってください」という一風変わった集合住宅の計画が進んでいることを報じた十月十五日付の「国分寺の『ぶんじ寮』」。コロナ禍で収入が減った人たちの家賃負担を軽減しようと、国分寺市の市民有志が企業の社員寮だった建物を借り上げた。

◆助け合う「居場所」 動きだす

国分寺市の「ぶんじ寮」でカードで遊ぶ子どもと入居者ら

 ぶんじ寮は十一月にオープンし、入居者と地域住民が交流できる「居場所」にする構想が動きだした。
 十二月中旬に寮を訪ねると、雨宿りに来た近所の子どもたちと入居者らが食堂でカードで遊んでいた。寮では食堂や風呂、畑といった共有スペースでイベントを行うアイデアが浮かんでおり、豊島区から引っ越してきた自営業、山本修裕(のぶひろ)さん(40)は「これからどうなるかワクワクしている」。
 約二週間の募集で定員を超える応募があり、抽選で映像クリエーターや大学生ら十〜四十代の入居者が決まった。十一月二十四日に入居が始まった。
 家賃の支払いに使えるのは、ボランティアなどでもらえる地域通貨「ぶんじ」。早速、ぶんじで食事ができる食堂を開いたり、入居者が地域のカフェで手伝いをしてぶんじを得たりと活動が広がっている。
 築約五十年で老朽化によるトラブルもあったが、修繕なども入居者らが考え、取り組んでいる。
 企画の中心メンバー、影山知明さん(47)は「一人で解決できないことはたくさんある。困っていることをお互い言い合える場になってほしい。ぶんじ寮をきっかけに共助の関係が街全体に広がってほしい」と語った。 (文と写真・竹谷直子)
 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。

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