<2020回顧 取材メモから>新型コロナに揺れる県内 感染爆発防止 正念場続く

2020年12月31日 07時08分

緊急事態宣言前に営業自粛が始まっていた千葉駅近くの飲食店街=4月4日、千葉市中央区で

 今年はコロナが県民を翻弄(ほんろう)した一年となった。千葉県発表の新型コロナウイルスの累計感染者数は一万人を突破し、死者も百人を超えている。県内で初めて感染者が確認されたのは一月三十一日。未知の感染症で、当初は県担当者が「無症状の人は感染力はあってもごくわずか」と分析するなど行政も手探りだった。
 一月二十九日、国の要請で中国・武漢市から政府チャーター機で帰国した邦人を、勝浦市の「勝浦ホテル三日月」が受け入れた。二月十三日まで百九十一人が滞在。ホテル近くの海岸に「心はひとつ。またきてね」とエールを送る砂文字が描かれ、土屋元市長は「勝浦は人命救助の街」と胸を張った。一方、風評被害や移動自粛の影響で南房総地域をはじめとした県内観光業の停滞は出口が見えない。
 県内でサーフィンやレスリング、テコンドーなど計八競技が開催される東京五輪・パラリンピックは三月二十四日、一年延期が決まった。現在も大会の簡素化やコロナ対策について国から詳細な内容が伝わらず、先行きは不透明だ。森田健作知事は「国民の一人として何とか開催を」と望むが、県内政界関係者の一人は「例えば基礎疾患を持つ選手もいるパラリンピックはコロナ禍で安全性を担保できるのか」と指摘する。
 三月二十八日、県内で初めてクラスター(感染者集団)が認定された。東庄町の障害者福祉施設「北総育成園」で、入所者と家族、職員の計百二十一人が感染。高齢者福祉施設や医療機関のほか、プロ野球・千葉ロッテ、生徒ら百人以上が感染した市立船橋高校(船橋市)などクラスターは後を絶たず、感染力の強さを示した。
 一方で、県のコロナ対応は主体性を欠いた。政府は、四月七日に千葉県を含む七都府県に緊急事態宣言を出したが、森田知事は当初、事業者に対する休業要請に否定的だった。補償面の財源の問題から「東京都と同じというわけにはいかない」と主張したが、神奈川、埼玉の両県が東京都と歩調を合わせると、一転して要請することを発表した。
 緊急事態宣言下では、居酒屋などの飲食店は午後七時以降(五月二十六日に午後十時以降に緩和)の酒類の提供自粛を求められ、事実上の時短営業要請で夜の街は活気を失った。
 教育現場も混乱した。春の学校一斉休校は、四月二日に六日から再開されることが発表されたが、三日後、同月末まで延長された。夏の甲子園が中止となり、高校野球の県大会が独自大会となる異例の措置が取られたほか、文化、体育会系問わず多くの大会が中止となった。
 感染は夏場の第二波が収まった後、十二月から大幅に拡大した。一日当たりの県内感染者は百人超が日常的となり、医療現場も逼迫(ひっぱく)している。森田知事は、年末年始に不要不急の外出をしないよう呼び掛けており、感染爆発を抑えるための正念場を迎えている。二〇二一年もコロナと闘い、共存する日々が続く。 (中谷秀樹)
 =おわり

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