被害者に寄り添い 性暴力撲滅訴え 「私たちはここにいるよ」伝えたい 浦和駅前 フラワーデモ埼玉1年

2020年12月31日 07時09分

昨年12月からスタートし、丸1年たったフラワーデモ埼玉=JR浦和駅で

 毎月11日、花を手に性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ埼玉」は、12月で開始から1年がたった。呼び掛け人の一人、野田静枝さん(72)は、訴えに共感の輪が広がりつつあると感じる一方で、被害を受けた女性側に「落ち度」があったと見られる根強い風潮に心を痛める。「私たちはここにいるよ」。女性たちに寄り添い、励まそうと、2年目も街角に立つ。 (飯田樹与)
 通行人がマフラーに顔をうずめ、足早に行き来する師走のJR浦和駅前。野田さんら約三十人は十一日、「性暴力を許さない」と書かれたプラカードと花を手にたたずんだ。新型コロナウイルス感染防止のため、言葉は発しない。午後六時半から一時間半、静かにアピールした。
 フラワーデモは昨年三月、性暴力被害に関する刑事裁判で無罪判決が相次いだことに抗議するため、東京都内で始まったのを皮切りに全国に広がった。親しい間柄でも同意のない性行為は認められないなど意識の変化を訴えたり、被害に苦しむ女性に「あなたは悪くない」と呼び掛けたりしてきた。埼玉では昨年十二月に始まった。当初の参加者は十人ほどだったが、会員制交流サイト(SNS)で発信し、地道に開催を続けると徐々に参加者が増えた。地元で行われていると知って駆け付けた人や、最初は遠巻きに見ていた人。今では性別に関係なく二十人あまりが集まる。
 デモが知られ、訴えに共感してくれる人が増えた一方で、「男に触られたぐらい、なんだ」と心無い言葉をぶつけられるなど、悔しい思いもしてきた。十一日も準備をしていた野田さんに、中年男性が性暴力を肯定するような言葉を投げ掛けてきた。「それは違う」という反論に、男性は納得しないまま立ち去った。
 伝わらないもどかしさもあるが、野田さんは性暴力を肯定したり、被害者をおとしめたりするような言動には毅然(きぜん)と立ち向かう。落ち度があったと言われたり、証言を疑われたりして傷つき、孤独に追い詰められる被害者たちに、諦める姿を見せたくないからだ。「ここに来たら、ばばちゃんが守ってあげると示したいんです」
 コロナ禍で女性の自殺が急増し、DVや虐待など家庭内での暴力のリスクも高まっているとされる。この一年、女性を取り巻く環境の厳しさを改めて感じたからこそ、野田さんたちはこれからも浦和駅前に立つ。「『ここにいるよ』というメッセージが届いていれば。それによって、明日を迎えようと思ってほしい」

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