農地の太陽光発電に厳しい規制の壁 ソーラーシェア、10年限定で収穫維持も条件

2021年1月3日 20時37分
 政府が2050年の温暖化ガス排出の実質ゼロを掲げる中、ソーラーシェアリングなどで農地を有効に発電に活用できるかが目標実現のカギを握る。後継者難から耕作放棄地は急拡大しているが、厳しい規制が壁になり活用が認められない例が多い。

◆増え続ける耕作放棄地

 全国の耕作放棄地は年々拡大。15年時点で42万ヘクタールと、富山県に匹敵する面積だ。荒廃して樹木が生え「再生利用困難」と分類された土地も19万ヘクタール。
 農林水産省の計算では、再生困難地の全てに太陽光発電設備を整備した場合、1383億キロワット時の発電ができる。原発13基分以上にあたり、国内電力需要の15%が賄える計算。耕作が完全に放棄される前の段階でもソーラーシェアにより営農と発電が両立されれば、収入増加で耕作放棄自体を阻止する効果が期待できる。

◆各地の農業委員会は転用に後ろ向き

 しかし、実際は農地の発電への活用実績は1万ヘクタールにすぎず、ソーラーシェアも18年度までに560ヘクタールが認められたにすぎない。認可された1900件はほとんどが50キロワット未満などの小規模だ。
 農地の発電などへの活用を認める権限は農業関係者が参加する各地の農業委員会が握っており、農業以外への転用には後ろ向き。政府の規制も厳しく、ソーラーシェアの場合、収穫が周辺の平均より2割以上落ちてはならないなどの規制がある。使用が認められるのは10年に限定されており、延長には再許可が必要。銀行が設備資金を貸す際の妨げになっている。福島県二本松市の大規模ソーラーの例でも、収穫が維持できるか厳しい条件にさらされながらの事業になる。

◆大手電力会社が送電拒否の例も

 発電活用が認められたとしても、送電網をコントロールする大手電力会社が「電線に空きがない」として受け入れを拒否する例は多い。二本松市のソーラーは10年代前半に認可されたため大規模発電も認められたが、最近では大手電力は接続を拒否するか、送電線補強料として高額の工事代金を要求するのが通例だ。
 これらの障壁は河野太郎行政改革担当相を責任者とする再エネ拡大に向けたタスクフォースでも問題化したが、改革が進むかは予断を許さない。被災地復興、農業活性化など日本が直面するさまざまな課題を解く手掛かりになる農地の発電活用だけに、政治のリーダーシップで打開策を打ち出すことが求められている。(池尾伸一)

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