マスクって楽しいもの<コロナ時代のNEW WAVE 常識を脱ぎ捨てる4つの方法>

2021年1月4日 07時22分

「仮面屋おもて」の店内で仮面について語る大川原脩平さん=いずれも墨田区京島で

◆Lesson 3 脱素顔

 パプアニューギニアの木の面、メキシコのマスク、…。店内に足を踏み入れると、多種多様な仮面やマスクが並ぶ。昭和の面影をとどめる墨田区京島の商店街の一角。「仮面屋おもて」は「おそらく日本で唯一の仮面・マスク専門店」と、店主の大川原脩平さん(30)は語る。
 「これ、かぶってもいいですか」。客の男性が、顔がすっぽり隠れる紫色のマスクを手に取った。大川原さんが「鏡は裏にありますよ」と応じる。男性はそのマスクを買って帰った。
 大川原さんは「今の方は声優さんだそうです。買ってくれるのは仮装好きの人やコレクターが多い」と教えてくれた。副業でユーチューバーをしているが、顔を出せないのでマスクが欲しい、という人も訪れる。
 展示されている仮面やマスクは約二百点。美術作家が手掛けたものや海外の民芸品、縁日の屋台で売られていた古い面、ヨーロッパのガスマスク、着ぐるみ、ヘルメット…。

あらゆるジャンルの仮面が並ぶ店内

 大川原さんは前衛舞踊のダンサーだ。かつてはマスクを使った演技指導や、現代美術作品の販売をしていた。その縁でマスクを作る美術作家たちと知り合いになった。「売れない美術作家の収入源になれば」と二〇一五年に店を始めた。
 「マスク」という概念は人によって異なる。それが大川原さんの考え方だ。「例えば、演劇の世界では広い意味でとらえる。大きな布を頭からかぶり、それをマスクとして高齢の女性を演じることもある」
 仮面屋おもては「マスクという概念で遊べる店」を掲げ、マスクの概念を「ある種の現象」とする。鏡を毎日のぞき自分の存在を確認しようとすることや、天井の染みが人の顔のように見えることも「現象」として「マスク」と呼ぶ。
 コロナ禍の日常は、防疫用のマスク着用が当たり前となった。大川原さんは「アフリカのある部族は、固有のマスクを持つことが身分の証明。それと似て、今の日本は着けないと人権がなく、着けると人として認められるみたい」。
 今、中世の欧州で医師がペスト診察に使った「ペストマスク」が、世界的に売れているという。入手困難になり、仮面屋おもてでも約二百人が入荷を待つ。「感染防止の効果はなくても、話のネタに買うんでしょう」と推し量る。
 大川原さんの知り合いの主婦は、家で掃除機をかけるとき、マスクをかぶるそうだ。「自分の切り替えのスイッチみたいなもので、やる気が出るそうです。良い洋服を着るようなものじゃないですかね。そんなふうにマスクを楽しめるようになればいいのに」 (宮本隆康)

商店街にある「仮面屋おもて」

<仮面屋おもて> 墨田区京島3の20の5。営業は、おおむね毎週土日曜の正午〜午後7時。不定休でツイッターのmaskshopOMOTEなどで要確認。(問)同店=電070(5089)6271=へ。

関連キーワード

PR情報

東京の新着

記事一覧