交番と署を音声で相互にやりとり 警察官不在時の安全確保 東京都内1082交番・駐在所に新システム順次導入

2021年1月4日 17時00分
 東京都葛飾区の交番で昨年、警察官が不在の際に助けを求めて駆け込んだ女性がわいせつ被害を受けたり、交番相談員が男に襲われる事件が相次ぎ、警視庁は今年、警察署から交番や駐在所内の様子をモニターで可視化し、音声で相互にやりとりできるシステムを導入する。人工知能(AI)搭載の防犯カメラで凶器を持った不審者らを検知する研究も進めており、交番の安全対策に力を入れる。(奥村圭吾)

交番相談員の男性が男に包丁で切り付けられた亀有署南水元交番=昨年4月、東京都葛飾区で

 葛飾区の亀有署南水元交番で昨年4月、交番相談員の男性が男に包丁で背中を刺され、重傷を負った。昨年9月にも同区の路上で20代女性が大学生の男から体を触られる強制性交未遂事件が発生し、女性は数十メートル離れた同交番に逃げ込んだが、警察官が不在だったため、交番内でも再び被害に遭った。
 警視庁によると、交番には最寄りの警察署の担当者につながる来訪者用の直通電話があるが、女性は男から逃げることで精いっぱいだったため、電話の存在に気付けず、通報が遅れたという。
 警視庁は2018年から6カ年計画で交番内の映像と音声を警察署から確認できるシステムの導入を進めてきた。今年からはシステムをさらに改良し、警察署からの音声も交番や駐在所に届くようにする。

不在時の交番で来訪者が使用できる警察署との直通電話

 システムは都内の交番・地区交番・駐在所の計1082カ所に順次導入する。警察署内のリモコン室にモニター画面と音声装置を用意し、交番内にはビデオカメラと音声装置を設置する。不在時の交番に人が入るとリモコン室のアラームが鳴り、署員が音声で対応する。
 例えば、警察官の拳銃を奪う目的で刃物を持った犯人が交番に侵入した際、即座に音声で威喝して犯行をとどまらせたり、交番に駆け込んだ被害者の状況を映像と音声で確認し、速やかな事件解決につなげることを想定している。
 警察官の不在時に落とし物を届けに来た人に、署員が「落とし物ですか」とスピーカーで声掛けすれば、拾得物の受理がスムーズかつ確実にできるメリットもある。
 昨年から具体的な研究を進めているAI搭載の防犯カメラは、一定時間、交番周辺などでたたずむ人物や不審物を検知することで、事件を未然に防ぎたい考え。ただし、プライバシー権の観点から、どこまでの範囲を撮影するかといった課題は多く、警視庁は慎重に検討を続けている。

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