白石被告の死刑確定へ 弁護人の控訴取り下げ<座間9人殺害>

2021年1月5日 06時00分
 神奈川県座間市の9人殺害事件の裁判員裁判で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職白石隆浩被告(30)を死刑とした東京地裁立川支部判決が5日、確定する。弁護人が昨年12月18日に申し立てた控訴を、被告が21日に取り下げていた。

神奈川県座間市の男女9人殺害事件があったアパート=2017年

 ツイッターに「死にたい」と書き込むなどした若者9人が狙われ、約2カ月間に相次ぎ犠牲になった事件の審理は、高裁や最高裁を経ずに終結。
 昨年12月15日の判決によると、自宅アパートで2017年8月下旬~10月下旬、女性8人に性的暴行した上、男性1人を加えた9人をロープで首を絞めて殺害し、現金数百~数万円を奪った。
 最大の争点は、被害者が殺害を承諾していたかどうかで、弁護側は承諾殺人罪の成立を主張していた。判決は、被告の供述の信用性を認定。被害者はいきなり襲われたり、自殺の意図があったとしても想定とは懸け離れた方法で殺害されたりしたなどと指摘し「9人全員に承諾はなかった」とした。
 動機は「金と性欲目的」と指摘。被告の完全責任能力も認めた上で「犯罪史上まれにみる悪質な犯行だ」として、求刑通り死刑を言い渡した。
 被告は公判で「裁判を早く終わらせたい。死刑でも控訴しない」との意向を示していた。
 弁護側は、被告による控訴取り下げの無効を裁判所に申し立てることができるが、主任弁護人の大森顕弁護士は申し立てない意向を示していた。(共同)

◆判決確定から執行まで平均年数は7年4カ月

 白石被告は母親や妹から面会や手紙がないことを「さみしい」としながら、拘置所で報道関係者らとの面会には積極的に応じていた。死刑囚になると、外部との接触はより制限される。
 法務省成人矯正課によると、面会をしたり手紙を書けるのは親族や拘置所長が許可した人物のみ。許可する人物は「死刑囚の執行前の命を確保する」との観点で、死刑囚の動静や精神状況を考慮し慎重に検討するという。
 現在の死刑囚のうち、約80人が審理のやり直し「再審」を求めている。上川陽子法相は「再審請求は刑事訴訟法上、それ自体で執行停止を命ずる事由に当たらない」としており、棄却の可能性が高い場合など、たとえ再審請求中の死刑囚でも執行はあり得るとの見解を示している。
 法務省によると、2010年から10年間で執行された死刑について、判決確定から執行までの平均年数は7年4カ月だった。01年、大阪府池田市の小学校で8人を殺害した宅間守元死刑囚は1審で死刑判決を受けた後、白石被告と同様、弁護人による控訴を取り下げた。再審請求もせず、死刑確定から1年で執行された。(沢田千秋)

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