<つなぐ思い 震災10年>(4)原発事故 影響忘れない 「ホットスポット」点在 東葛地域

2021年1月5日 07時20分

検診再開に向けて打ち合わせをする木本さん(左)と佐藤さん=いずれも茨城県守谷市で 

 東京電力福島第一原発事故で、比較的高い放射線量が観測された「ホットスポット」が点在する東葛地域。事故から十年近くたっても、放射性物質に汚染された指定廃棄物の処分方法が決まらず、柏市は県内市町村別で最多の千六十四トンを保管し続ける。住民たちは今なお、健康被害の救済や、脱原発を呼び掛ける活動に取り組む。
 被ばくによって生じる小児性甲状腺がんの疑いを調べるため、エコー検査をする市民団体「関東子ども健康調査支援基金」は、茨城県守谷市の常総生協に事務局を置く。共同代表を務める木本さゆりさん(51)=松戸市在住=と佐藤登志子さん(49)=我孫子市同=は「子どもたちをどうすれば守れるのか。それが活動の出発点」と振り返る。
 事故当時、木本さんは長男が小学校三年生、長女が二歳、佐藤さんは長男が小学校二年生。県内の一部浄水場で乳児の摂取制限の指標値を超える放射性物質が検出されたため、松戸市などで応急給水が行われたり、小学校校庭で土壌汚染が判明したりしていた。各地で自然発生的に行動を起こした母親らがつながって「放射能から子どもを守ろう関東ネット」を結成、二〇一三年に基金が発足するきっかけとなった。
 同年十月以来、茨城、千葉、栃木、埼玉、神奈川の五県と東京都で、震災時に十八歳以下だった人を優先対象に巡回検診を行い、二〇年二月までの受診者は延べ一万九百七十人に及ぶ。現在は新型コロナウイルスの感染防止対策で休診中だが、今年三月の再開を目指して準備を進めている。防止対策を施した「模擬検診会場」を設営し、受け付けの様子を紹介する画像を作成、運営協力団体に発信するなどの工夫もこらす。
 休診期間中には、受診者のうち、病院での治療を勧めた人を対象にアンケートを実施。三人が甲状腺の手術をしていたことが分かった。木本さんは「原発事故との因果関係は不明だが、検査の必要性があらためて分かった」と話す。各地からは検診再開を望む声が寄せられている。二人は口をそろえる。「要望や不安に寄り添い続ける。震災時に幼く、被ばくの事実や影響を知らない当事者に向けた周知が重要になってくる」

検診再開に向け設営された「模擬会場」(佐藤さん提供)

 東葛地域で脱原発を訴える住民グループが最も注目しているのは、国から再稼働が認められ、およそ八十キロしか離れていない日本原子力発電の東海第二原発(茨城県東海村)だ。
 再稼働を巡り、同原発から三十キロ圏内の市町村で実施された住民説明会を、東葛でも開くよう求めている団体の一つ「エナガの会」代表の若井正幸さん(63)=柏市同=は「私自身は再稼働に反対。ただ、それ以前に賛否を議論する判断材料を提供したい」と話す。
 会は震災後、国会周辺でのデモに参加したJR常磐線沿線の住民ら十人で一五年に結成。一九年は九千人以上の署名を集め、東葛六市に提出、二〇年十一月には要望・質問書に対する回答を各市から得られた。
 福島第一原発事故直後に見聞きしたことが若井さんを行動に駆り立てる。「知り合いの農家が困っていたり、飲食店が閉鎖に追い込まれたりした。近い場所で事故が起きたら影響は計り知れない」 (堀場達)

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