コロナの巣ごもり需要で脚光、干しいも人気ホクホク 神社やVRも登場スーパーフードの声も

2021年1月5日 12時07分

伝統の逸品から新商品までさまざまな干しいもを展開する幸田商店の鬼沢宏幸社長=茨城県ひたちなか市烏ケ台で

 新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で、茨城県が生産量日本一を誇り、県民のソウルフードとも呼べる「干しいも」が脚光を浴びている。自然な甘みたっぷりの健康食品という好印象が定着したほか、原料のサツマイモ収穫をリモートで疑似体験できるようにした農家も現れるなど、消費者のニーズに応えてきたことが功を奏したようだ。そんな進化を続ける干しいもの現場を取材した。(出来田敬司、写真も)

◆コロナでも売り上げ増

 無添加、無着色で、食物繊維やカリウムが豊富。脂質はほとんどない。「イモをふかして干しただけで栄養豊富。『スーパーフード』という人もいますね」。干しいもを取り扱うひたちなか市の食品加工会社「幸田商店」の飯島雅人リーダーはそうPRする。
 いま人気の品種は「紅はるか」。ねっとりとした食感で糖度が高い。細長いスティックタイプを個別に包装し食べやすさも追求している。「売上高は前年比1割以上の増でしょうか」と、鬼沢宏幸社長はホクホク顔だ。コロナ禍の影響でネット販売が特に伸びているという。

◆茨城が生産量日本一、シェア87%

 なぜ、茨城県に干しいもが根付いたのか。県産地振興課などによると、干しいもづくりは1908(明治41)年ごろに始まった。静岡県発祥だが、水はけの良い土壌で原料のサツマイモがよく育ち、晴天率の高さや強い海風などで天日干しにも適し、茨城県の海沿いで盛んになった。
 干しいも専用のサツマイモの生産量は2019年度、茨城県が全国トップの約3万2000トンで、シェアは87・7%。2位の静岡県(約1800トン)を大きく引き離す。一昨年中の東京都中央卸売市場の干しいもの販売額でも85%を占める。

◆VRで芋掘り体験

 生産者側も工夫を続けている。鉾田市の「深作農園」は昨年11月から、「VR(仮想現実)さつまいも掘り体験」を開始した。
 VRの動画は、ネットでサツマイモを注文した人にURLを送信。パソコンやスマートフォンで芋掘りを疑似体験できる。360度カメラで撮影しており、スマホや専用ゴーグルを操作すれば、あたかも農場にいるような感覚を味わえる。

サツマイモ掘りを疑似体験できる深作農園の動画=同農園提供

 これまでにオーダーは数十件に上る。深作勝己社長は「コロナ禍で容易に外出できない人も多い。VRなら場所や季節に関係なく、芋掘りを楽しんでもらえる」とにっこり。
 品質も確かだ。昨年2月には、さいたま市で開催された日本さつまいもサミットで、ファーマーズ(農家)部門とサツマイモ部門で2冠に輝いた。

◆「欲しいもの」も手に入る?

 今、熱い視線を集めているのは一昨年11月に開かれた、ひたちなか市の「ほしいも神社」だ。阿字ケ浦の真っ青な海を眼下に望みながら、黄金色の鳥居が境内に連なる。
 ほしいも神社は、江戸時代創建の堀出神社の末社に位置付けられた本格的な社だ。干しいもに掛けて「欲しいもの」が手に入るという少々欲張りな御利益と、インスタ映えするキラキラな景観が重なり、参拝客はうなぎ上りという。

黄金色の鳥居が目を引く「ほしいも神社」=茨城県ひたちなか市阿字ケ浦町で

 「鳥居の一部に緑や赤を採り入れ、サツマイモの葉っぱや干しいもをつくる際の太陽と炎を表現してみました。現代的なデザインが多くの人に受け入れられた」。宮司の宮本正詞さん(69)は苦笑いする。
 新年の参拝にほしいも神社を訪れ、一段と進化する茨城のソウルフードを味わってみてはいかが。

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