要請拒否の事業者への罰則 政府と与党は前向き、野党は慎重「まず補償」…特措法改正巡り溝<新型コロナ> 

2021年1月6日 06時00分
 政府と与野党は5日、新型コロナウイルス対策連絡協議会を国会内で開き、感染症対策を強化する特別措置法の改正に向けた協議を始めた。各党が改正内容について意見を表明。議論の焦点で、休業や営業時間短縮の要請などに応じなかった事業者への罰則の新設を巡り、政府・与党が導入に前向きなのに対し、立憲民主党などは慎重姿勢を崩さず、双方の溝が浮き彫りになった。与野党とも早期改正の必要性は一致するが、意見集約が難航する可能性もある。 (川田篤志、市川千晴)

◆倒産リスク

 立民の泉健太政調会長は協議会後の記者会見で「強制手段を取るには十分な補償が前提だ。補償が薄っぺらでは罰則覚悟で営業しかねない」と強調。罰則ありきの姿勢を強める政府・与党をけん制した。
 立民、共産、国民民主などの野党が先の臨時国会で共同提出した特措法改正案に罰則規定はない。明確に反対の共産、あったとしても行政罰という立民、国民と温度差はあるが、事業者が倒産リスクを抱えて休業要請に応じるのに、罰則を設けるのは「財産権の侵害になりかねない」(立民の枝野幸男代表)との懸念が強い。共産の田村智子政策委員長は「どこが要請を守っていないか監視する必要があり、社会的分断を生む」と指摘する。

◆「強制力がないと意味ない」

 対する自民党内には、政府や自治体による外出などの自粛要請でも感染拡大が止まらない現状に危機感があり「一定の強制力を持たせるのが重要。それがなければ意味がない」(世耕弘成参院幹事長)と罰則導入に積極的だ。菅義偉首相も「給付金と罰則はセット」と明言。日本維新の会も前向きな姿勢を見せ、自民党幹部は「最後は(強行)採決すれば良い」と強気だ。
 立民などが強く求めるのは、要請に応じた事業者への十分な経済支援。現行法には支援措置の明確な規定はなく、知事が協力金額を決め、国の助成を受けて支給している現状を変え、国による「補償」を制度化するよう主張している。
 さらに、野党側は事業規模に応じた補償を明確にするよう政府に要望。直接要請を受ける飲食店などの業種だけでなく、食材の納入や生産など関連業者も対象にするよう提案している。

◆経済支援の負担は

 政府・与党側も経済支援を明記する方針では一致するが、支援額や国と地方の財政負担のあり方には意見の隔たりがある。
 政府は休業に伴う損失額の算定が難しく「補償」は困難との立場で、与党も同調する見込み。「東京・銀座の店は月の売り上げが1000万円ある」(公明党幹部)と全額補償にも否定的で、知事が支援額を決める仕組みを維持したい考えだ。
 次の協議会は8日。近く政府が改正原案を示して、各党が検討して内容を詰めていく手順が想定される。自民党は2月初旬の成立を目指すが、知事の権限をどう強化するかなど論点は山積しており、1カ月で着地できるかは見通せない。

関連キーワード

PR情報

政治の新着

記事一覧