おうち時間 花を飾ろう 定額サービス、コロナ下で利用急増

2021年1月6日 07時47分

「柔らかい雰囲気の花が好き」と話しながら花を選ぶ女性=名古屋市で

 花でおうち時間に彩りを−。コロナ禍の中、自宅に花を飾って楽しむ人が増えている。イベントの中止などで業務用の花の需要が減った一方で、家庭向けの販売は好調。常に新鮮な花を飾れる定額制サービス(サブスクリプション)も人気を集めている。 (長田真由美)
 カーネーションやトルコキキョウ、赤い実がかわいいヒペリカム…。名古屋市瑞穂区の生花店「花のみせ美里」本店に入ると、中央に高さ約十五センチの花瓶が十個ほど並び、それぞれ三、四種類の花が飾られていた。来店した自営業の女性(69)が「どれにしようか迷う」と楽しそうに好みの花を選んでいく。
 女性が利用するのは、同店が二〇一九年十二月から始めた「魔法の花瓶」というサービス。三カ月分で三千円の料金を支払えば、花瓶を持参するたびに、毎日でも花を数本ずつ持ち帰れる。女性はサービス開始当初からほぼ毎日、同店を訪れて花を交換しているといい、「絵手紙の題材にもぴったり」とほほ笑む。
 このサービスは、同店を経営する櫛田篤弘さん(53)が花の顧客管理システム会社などと協力して考案。現在は全国の八十店が参加している。「気軽に来店してもらえるようにしたかった」と櫛田さん。同店のサービス利用者は当初約二十人だったが、コロナ禍の中で急増し、今は二百七十人に上る。櫛田さんは「来店客が増え、店内も活気が増した」と喜ぶ。
 定期的に自宅に花が届くサービスもある。クランチスタイル(東京)が一六年六月から始めた「ブルーミーライフ」は、同社が提携した最寄りの生花店から毎週か隔週で旬の花が届く。一回につき花三本以上で五百五十円(送料別)から始められ、全国で五万世帯が利用している。会員数は伸び続けており、社長の武井亮太さん(33)は「自宅で過ごす時間が長くなり、日常の楽しみやわくわく感を花に求める人が増えたのでは」と話す。
 農林水産省によると、三月は卒業式や送別会など花卉(かき)の需要が最も高まる時期の一つだが、昨年は例年の七、八割に落ち込んだ。家庭での花卉の利用が広がり、昨年七月から需要は回復傾向にあるものの、「イベントがない現状は変わらず、花卉業界のダメージは大きい」と武井さんは言う。同省は家庭や職場に花を飾る「花いっぱいプロジェクト」を実施。自治体などに公共スペースでの花の展示を呼び掛けたり、生産者と連携して余剰になった花を販売へ結び付けたりする取り組みを進めている。

◆リラックス効果 科学的に実証

 古くから日本人の暮らしを彩ってきた伝統文化の一つ、生け花(華道)。ただ、「近年は若い世代の関心が薄くなった」と、中日いけばな協会理事長で日本生花司(せいかし)松月堂古流尾張支部長の林勝致軒(しょうちけん)さん(78)は残念がる。「趣味も増え、作法として習うことが少なくなった」
 一方、花をめでる効能は科学的に確認されている。千葉大環境健康フィールド科学センターが2011年、高校生から高齢者まで、男女347人を対象に調査を実施。バラの生花を見せると、リラックス時に高まる副交感神経の活動が29%上昇し、ストレス時に高まる交感神経の活動は25%低下した。林さんは「花のある生活は気持ちを落ち着かせ、季節によって変化する面白さもある」と話す。

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