<ふくしまの10年・イチエフあの時 続く苦闘編>(2)失職恐れ、線量隠す

2021年1月6日 08時02分

被ばく線量隠しの発覚を受け、線量計を適切に着けているかチェックが始まった=東京電力提供

 原発作業員の被ばく線量の上限は「五年間で一〇〇ミリシーベルト」かつ「年間五〇ミリシーベルト」と法令で決められている。重大事故最中の東京電力福島第一原発(イチエフ)でも事故直後以外はそのルールが適用され、実際には年間二〇ミリシーベルトとする下請け企業が多かった。
 その値を超えそうになると、作業員はイチエフを出ることになる。雇用先が他の仕事を確保できていればいいが、小さな下請け企業ほど状況は厳しく、解雇者が出た。
 二〇一二年夏、被ばく線量を記録する個人線量計を鉛で覆ったり、線量計を現場に持ち込まなかったりする被ばく線量隠しが発覚した。
 「この調子で被ばく線量が増えていくと、仕事ができなくなると思った」。発覚した作業員とは別の作業員は取材にその動機や手法を語った。
 厚さ五ミリほどの鉛板を箱型に成形して下着の胸ポケットに隠し、線量計を鉛箱の中に入れて現場に出た。この作業員は線量の低い場所に線量計を置いていく手法も併用。鉛箱は上部が開いていたため、効果は小さかったという。
 線量計を適切に着けているかチェックは強化されたが、線量隠しが起きた根本原因の改善はなされなかった。作業員たちは「高線量と低線量の仕事を合わせて発注したり、除染など他の仕事を確保し、安定してイチエフで働けるようにしてほしい」と訴えた。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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