「米大統領によるクーデター未遂だ」 トランプ氏、歴史に汚点 最悪の退場劇

2021年1月8日 06時00分

6日、米ワシントンの連邦議会で、トランプ氏の支持者が議事堂に侵入しようとしたため身を隠す人たち=AP

 【ワシントン=金杉貴雄】米連邦議会への6日のトランプ大統領支持者の乱入は、トランプ氏が有権者による選挙結果を認めず、憲法に定められた次期大統領の確定手続きを阻止しようと「民主主義に反する暴動を扇動」(米メディア)したのが原因となった。20日の政権移行を前に、米国にとっても、自身にとっても最悪の退場劇となる。
 「米議会史の中で暗黒の日」。ペンス副大統領は6日夜、そう語った。米民主主義の象徴ともいえる米連邦議会では同日午後、信じ難い光景が繰り広げられた。数千人のトランプ氏支持者が殺到し、バイデン次期大統領が2週間後に就任式を行う演壇を占拠した。
 群衆は議会の階段を駆け上り、窓ガラスを割って内部に侵入。「選挙を盗むのをやめろ」と連呼した。
 下院本会議場内で銃声が響き、円形広間では催涙ガスも使われ、議員にはガスマスクが渡された。暴徒は上院本会議場に侵入して議長席に座り、旗を振り回した。撃たれた女性ら4人の死者を出し、建国以来ないほどの異常事態に陥った。

連邦議会議事堂内に侵入しようとするトランプ支持者らに銃を向ける警察官ら=AP

 1月6日は大統領選の結果で選ばれた選挙人投票を、連邦議会で上院議長を兼ねる副大統領が集計する日。20年前には大統領選で自ら候補者として敗れたゴア副大統領が、ブッシュ(子)氏の勝利を確認し幸運を祈ったように、立場を超え憲法と民主主義を尊重する「儀式」の日でもある。
 しかし、トランプ氏はまずペンス氏に、有権者の投票結果を一方的に覆すよう要求。「憲法上権限はない」と拒否されると、6日午前のホワイトハウス前の集会で「あなたに失望した」と非難した。さらに集まった支持者に「左翼の民主党員に選挙が盗まれた」などと根拠なく怒りをあおり、「全員が連邦議会に行進するだろう」と呼び掛けた。
 歴史家のマイケル・ベシュロス氏はAP通信に、「米国大統領によって引き起こされたクーデター未遂だ」と指摘。「暴徒と共謀し自身の政府を倒そうとする前例のない大統領だ。わが国の民主主義の考えに完全に反する」と批判した。
 米主要メディアはトランプ政権の閣僚らが6日、憲法修正25条に基づくトランプ氏の大統領即時免職について協議したと報じた。
 複数のホワイトハウス高官は同日、辞任を表明。大統領補佐官らも辞任を検討中と報じられた。忠実だったペンス氏やマコネル上院院内総務も憲法と民主主義を軽視するトランプ氏から離れ、陰謀説を振りまき歴史に汚点を残した同氏は孤立を深めている。

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