<新型コロナ>埼玉県が緊急事態宣言受け県民に外出自粛要請 時短営業、非協力店公表は慎重

2021年1月8日 07時48分
 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令が決まったことを受け、埼玉県は七日、対策本部会議を開き、県民に八日から二月七日までの間、不要不急の外出や県境をまたぐ移動の自粛を求めることを決めた。特に午後八時以降の外出自粛を促すため、十二日以降は酒類提供の有無にかかわらず、県内全ての飲食店に午後八時までの営業時間の短縮を求める。 (飯田樹与、近藤統義)
 七日発表された県内の新規感染者数は四百六十人で、三日連続で過去最多を更新した。大野元裕知事は「極めて厳しい状況が続いている。この爆発的拡大に歯止めをかけ、医療崩壊を食い止めなければならない。今こそ正念場だ」と述べ、県民に理解を求めた。
 県は、さいたま市大宮区と川口市、越谷市の酒類提供の飲食店とカラオケ店に「午後十時まで」としていた営業時間の短縮要請を、八〜十一日は「午後八時まで(酒類提供は午前十一時〜午後七時)」とするよう要請。十二日〜二月七日は、対象をカラオケ店やバーを含む県内全ての飲食店に広げる。十二日以降、全期間で応じた店には百六十二万円(一日六万円)を支給する。宅配サービスやテークアウトは午後八時以降も可能とする。
 宣言の発令により、同法に基づく要請に応じない店名の公表が可能となる。大野知事は「懲罰ではなく(要請の)効果を上げることが目的。慎重に対応したい」と述べ、公表する場合は対象店舗に通達し、段階を踏む考えを示した。
 宣言に基づく措置とは別に、パチンコ店などの遊技場や遊興施設、劇場、映画館、運動施設などにも営業時間の午後八時までの短縮と、酒類提供を午後七時までとするよう働き掛ける。ただ、「お願い」にとどまり、応じない場合も店名公表の対象にはならない。
 学校の一斉休校は求めないが、合唱や調理実習は中止し、学校での食事中の会話も禁止。修学旅行などは中止・延期を含めて実施の可否を判断するよう求める。また、県立学校では短縮授業などを実施し、部活動は原則中止とする。

◆感染対策して3学期始業 さいたま市の小中校など

書き初めに取り組む6年の児童ら=さいたま市浦和区で

 さいたま市の大半の小中学校と特別支援学校で七日、三学期が始まった。新型コロナウイルス対策が求められる中、浦和区の本太小学校では子どもたちが笑顔で登校した。
 手洗いを済ませた子どもたちは、それぞれの教室でテレビ画面を通じた始業式に参加。式は代表児童四人が三学期の目標を発表するなど、およそ十五分で終わり、その後は各クラスで書き初めに取り組んだ。
 六年の新井寿菜(じゅな)さん(12)は年末年始、横浜市の祖父母宅に行かず自宅で過ごしたといい、「少人数で寂しかった」と話した。
 三学期には修学旅行が予定されていて、新井さんは緊急事態宣言による変更の可能性を心配しつつ、「絶対に行きたい」と目を輝かせた。
 藤沢美智子校長は「子どもたちの元気な顔を見てほっとした。厳しい状況が続くが学校は休校になってほしくない」と話した。
 さいたま市教育委員会によると、これまで六十二の市立学校で児童・生徒百人、教職員十四人の新型コロナ感染が判明し、うち74%が家庭内感染だった。 (前田朋子)

◆先見据えた対応を 県民の声

 県民からは冷静な受け止めとともに、国や県に実効性のある対策を求める声も上がった。
 三歳の長男の育児中で、都内に通勤する会社員の土屋泰裕さん(36)=さいたま市浦和区=は「宣言は遅いくらい」と言い切る。感染拡大による病床の逼迫(ひっぱく)を懸念し、「自分や家族が命に関わるような病気や事故にあった時に、受け入れ先がないのではと怖くなる。行政には早く病床数を増やしてもらいたい」と訴えた。
 一方で、営業時間のさらなる短縮を求められた飲食店が国や県から「狙い撃ちされている」とも感じるという。「飲食店がなくなると日常生活から彩りが失われ、街の価値も下がってしまう。つぶれないよう、補償をきちんとしてほしい」
 川越市のフリーター女性(25)は「若い人は『コロナは風邪みたいなもの』と危機感が薄い気がする。宣言で意識が変わるかもしれない」と期待する。市内の友人が昨年末にコロナ陽性者の濃厚接触者となったが、検査を受けられるまで数日かかったといい、「自分もいつ濃厚接触者になるか分からない。保健所も大変だと思うけど、早く検査が受けられるようにしてほしい」と対応を求めた。
 東日本大震災の後、避難者の支援活動をした越谷市の団体役員安斎作子さん(75)は「震災の時もそうだったが、不安なことばかり考えても仕方がない。できることを探して日々を過ごすしかない」と前を向く。
 所沢市のアルバイト男性(78)は、自粛要請の対象が飲食などに限定されていることに「強い措置が必要な時に及び腰ではないか」と疑問を呈す。昨春の発令時は地元商店でマスクや消毒液、レトルト食品などが品薄になり、今回も心配しているといい、「政府と自治体には、在庫がきちんとあり、買い占めの必要がないことを繰り返し周知してほしい」と注文を付けた。
 秩父地域おもてなし観光公社(秩父市)事務局長の井上正幸さん(53)は「前回よりも『個々の判断に任せる』という面があると感じる。イベント中止といっても、携わる人によって温度差があるのでは」と話す。人の動きや地域の観光への影響は読めないが、状況が好転しても不安は残る。
 停止中の「Go To トラベル」が再開されても、いずれは終了する。井上さんは「安いのが当たり前が続けば、終わった時に『高い』という印象を持たれる。国や県には事業者が反動で困らないよう政策を考えてもらいたい」と先を見据えた対応を求めた。 (杉原雄介、大沢令、加藤木信夫、久間木聡)

◆緊急事態宣言に伴う主な県の対応

■新型コロナ特別措置法に基づく要請
・不要不急の外出、県境をまたぐ移動の自粛
・飲食店は営業時間を午後8時、酒類提供は同7時まで
・イベントの参加人数の制限・企業のテレワーク徹底(目標・出勤者数を7割削減)
・県教育委員会へ県立学校の感染防止対策の徹底と施設休館を要請
■その他の措置
・県主催イベントの原則中止または延期
・屋内県有施設の休館
・遊興施設、劇場、映画館、集会場、運動施設、遊技場、博物館、美術館、図書館、1000平方メートル超の物品販売店やサービス業店舗などへ、できる限り営業時間を午後8時、酒類の提供を同7時までにお願いする
■県教育委員会の対応
・合唱、調理実習の中止
・学校での食事中の会話禁止
・県立学校は始業時間の繰り下げ、短縮授業を実施
・県立学校の部活動は原則中止
・修学旅行などは中止または延期を含め実施を判断

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