菅首相「断じて受け入れられない」 韓国地裁、日本政府に元従軍慰安婦へ賠償命じる  原告側「おばあさんの苦労報いる判決」

2021年1月8日 19時49分
ソウル中央地裁で8日、元慰安婦らの訴えを認めた判決後、会見する原告の弁護士=相坂穣撮影

ソウル中央地裁で8日、元慰安婦らの訴えを認めた判決後、会見する原告の弁護士=相坂穣撮影

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 【ソウル=相坂穣】韓国の元慰安婦と遺族ら12人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は8日、原告の請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。日本政府の資産差し押さえの仮執行も認めており、日韓関係が一層悪化するのは必至だ。
 菅義偉首相は8日、慰安婦問題について「1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みだ」と述べ、「このような判決を断じて受け入れることはできない」と批判した。日本政府は国家が他国の裁判権に服さない国際法上の「主権免除」の原則に基づき、裁判参加を拒否しており、加藤勝信官房長官は8日に「控訴する考えはない」と表明。地裁判決が確定する可能性がある。
 地裁は、判決理由で「組織的で広範囲の反人道的犯罪で国際規範に違反した。不法占拠中の朝鮮半島で行われており、主権免除は適用されない」とする初の判断を示した。
 訴訟は、元慰安婦の李玉善さん(93)ら原告が2013年8月に、日本政府に賠償を求める調停を申請したが、日本が応じずに、裁判に移行。原告は「拉致や監禁などにより、軍人の性の対象となり、精神肉体的苦痛を負った」と主張した。
 地裁は、原告の訴えを全面的に認めた上、1965年の日韓請求権協定や2015年の日韓慰安婦合意で、原告の請求権は消滅していないとの見解も示した。
 原告代理人は「元慰安婦のおばあさんの苦労に報いる初の判決だ」と語った。
 外務省の秋葉剛男事務次官は8日、韓国の南官杓駐日大使を呼び、抗議。韓国外務省は「判決を尊重し、被害者の名誉回復に尽くす」とする一方、「外交関係への影響を綿密に検討し、未来志向の日韓協力を目指す」との声明を発表した。
 13日にも、別の元慰安婦らが日本政府を訴えた同種裁判の判決が出る予定。

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