暗がりの中でガウンやビニール手袋を…外出できない高齢者のための「移動PCR検査場」

2021年1月8日 11時45分
 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令され8日から始まった。感染者が急増する中、寝たきりや認知症の人たちがPCR検査をどう受けるかが課題となっている。昨年暮れ、訪問での検査に取り組む「湘南おおふなクリニック」(神奈川県鎌倉市)の長谷川太郎医師(51)の巡回に同行した。 (石原真樹)

車の後部に設置された検査スペース。車内の看護師が板ごしに検体を採取できる=いずれも神奈川県鎌倉市で

 記者が同乗した検査用の軽ワゴン車は、さながら「移動PCR検査場」。車の後ろのドアを開けると、腕を差し込めるように穴の開いた板が設置されている。看護師は車内にいながら、外にいる人の検体を採取できるようになっている。
 長谷川さん、看護師2人が乗った車が出発したのは夕方の午後5時近く。「車が目立つから、夕方遅い方がいい」
 道路脇に車を止め、暗がりの中でガウンやフェースシールド、マスクなどを素早く着け、ビニールの手袋をはめた。消毒は小まめに、念入りに行う。
 最初に検査を受けたのは80代女性。同居する娘が陽性になり女性を検査に連れて行けないため、訪問で検査を受けることになった。女性は自宅から出てきて、検体を採取されるとすぐに自宅へ戻った。その間、3分ほど。

検体を容器に入れる看護師(中)。右が長谷川医師

 その後、長谷川さんと看護師はガウンなどを慎重に脱いでごみ袋にまとめ、何度も消毒。再び車に乗り込み次の訪問先へ移動した。
 検査を受けるのは、家族の感染が判明した50代男性と80代母親。男性は車で検体を採取したが、認知症の母親は外に出るのが難しく、長谷川さんがガウンと手袋をテープで止めるなど厳重に感染防止対策をして自宅の中へ。5分もたたず戻ってきた。
 2カ所とも採取自体はあっという間だが、準備と片付け、移動を含めるとかなり時間がかかる。クリニックに戻ったのは2時間後だった。

暗がりの中で検査の準備をする看護師ら

 「宇宙人のような服(防護服)を着た知らない人が突然家に来て、びっくりしてしまうお年寄りもいる」ため、丁寧な説明を心掛けていると話す長谷川さん。
 新型コロナは高齢者の死亡率が高いため「発熱高齢者への迅速な検査が地域を守ることになる」と同クリニックは昨年5月に検査をスタート。1月3日までに66人を検査し、陽性は2人だった。
 陽性だった場合には保健所に連絡。介護施設から入所者の検査をしてほしいと依頼もある。長谷川さんは「PCR検査場に来られる人ばかりじゃない。漏れてしまう人に対応していくのも医師の役目」と力を込めた。

PR情報

社会の新着

記事一覧