カジノ誘致は「市民に判断を委ねる問題ではない」 横浜市議会が住民投票条例案を否決 市民団体「残念無念」

2021年1月9日 00時06分
横浜市役所

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 横浜市議会は8日の臨時会本会議で、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の賛否を問う住民投票条例案を、自民党・無所属の会と公明党の反対多数で否決した。市民団体が法定数の3倍を上回る約19万3千人分の署名を集め、直接請求した住民投票は実施されないことになった。

◆自民党や公明党の反対多数で否決

 採決前の討論で、自民は「軽々に市民に判断を委ねるような問題ではない」、公明も「制度上に課題を抱える住民投票で市民に判断を委ねることではない」と反対。立憲・無所属フォーラムと共産は「IR誘致の是非は民意を問うべき問題だ」などとした。
 議長を除く85人のうち反対は51人、賛成は立憲、共産、無所属の5人の計34人だった。傍聴席からのやじで議事を妨害したとして退場者が出た。

◆「住民投票を求める意見の背景は心配」

 閉会後、林文子市長は「住民投票を求める意見の背景にあるのはIRへの心配。これまで説明してきたが足りてないと感じた。ここをIRの議論の入り口としてとらえたい」と述べた。
 直接請求した市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」の岡田尚・運営委員長は「残念無念。しかしこの議論を通し、どちらに大義があり、正義があったかは客観的にはっきりしている」と話した。

◆<解説>19万人超の声をわずか3日で退ける

 「市民の声を聞いてほしい」という訴えを、横浜市議会はわずか3日の審議で退けた。住民意思を直接問う機会を放棄したといえ、今後の市政運営に禍根を残さないか心配だ。
 反対派の市民らでつくる団体が署名を集めた昨年10月、林市長は「住民投票が実施されれば結果に従う」と発言した。しかし市議会では、住民投票実施に「意義を見いだしがたい」と繰り返した。
 自民、公明は昨年12月に署名が提出された際、「しっかり議論したい」と言っていたが、開会後すぐに市長に同調。自民は「(賛成反対という)二者択一で、公正な判断ができるのか」とまで言った。
 今回の住民投票には法的拘束力はないものの、実施されれば民意を無視することは難しい。自民の反対理由は、住民投票を行えばIR誘致反対が多数になることを前提にしているように聞こえる。
 林市長は2017年の前回市長選で誘致は「白紙」と強調し、19年8月になって誘致を表明した。同年4月の市議選の当選者では誘致反対を訴えた候補はいても、賛成を明言した候補はいなかった。「IR誘致の是非について市民は一度も問われていない」という市民団体の指摘は当然だ。このまま誘致を進めれば「住民が反対したカジノ誘致を強行した」との批判は免れない。
 市では今夏に市長選が予定される。候補者も政党も賛成、反対を明確にし、今度こそ市民に意見表明の機会を与えなければならない。(丸山耀平)

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