「暴力扇動」でTwitterも永久凍結のトランプ氏…退陣直前、SNS界が「指先攻撃」にNO!

2021年1月9日 23時01分
 米ツイッター社は8日、暴力をさらに扇動する恐れがあるとして、トランプ大統領のアカウントを永久に凍結した。一方的な主張の発信を許したことが、6日の議会襲撃につながったと批判が高まり、フェイスブック(FB)に続いてトランプ氏追放にかじを切った。メディア不信の強いトランプ氏は就任以来、なりふり構わない「指先攻撃」で支持を拡大してきたが、退任直前になってあっけなく情報伝達の武器を取り上げられた。 (ワシントン・白石亘、岩田仲弘)

凍結されたトランプ米大統領のツイッターアカウント

◆本人は新たな「武器」示唆

 ツイッター社は6日、トランプ氏のアカウントを一時凍結。その後再開したものの、トランプ氏が8日の投稿で支持者を「愛国者」と呼んだり、大統領就任式の欠席を表明したことが「暴力行為を再現するよう人々を鼓舞する可能性が高い」と判断。暴力の賛美を禁じる規定に反すると結論づけた。
 8800万人ものツイッターのフォロワーを失ったトランプ氏は声明で「ツイッターは言論の自由のためのものではない」と反発。新たなプラットフォームの立ち上げも検討中という。
 議会襲撃を巡っては、トランプ氏はその直前に開いた抗議集会に参加するようツイッターで繰り返し支持者に呼び掛けていた。米紙によると、ツイッターの従業員350人が経営陣に対し「われわれはトランプ氏のメガホンとなり、流血事件をあおる結果になった。彼はさらに危害を及ぼす恐れがある」とアカウントを永久に凍結するよう要求したという。

◆「追放」広がる

 ツイッター社によると、ネット上では米議会に再び武装して抗議する計画の情報が増殖しているといい、米公民権運動団体からも「新たな死者が出る前に、プラットフォームから扇動者である大統領を排除するのが急務だ」との声が上がっていた。
 すでにFBは7日、トランプ氏のアカウントを無期限凍結。またグーグルも8日、トランプ支持者が多く利用する交流サイト「パーラー」をアプリストアから削除するなど、過激な右派を締め出す動きが一気に広がる。
 これまでトランプ氏が「選挙が盗まれた」などと民主主義の信頼を損なうような一方的な主張を繰り返しても、警告ラベルをつけた上で投稿を容認してきたソーシャルメディア。方針を転換したのは、ネット上で誤った情報が広がるのを強く懸念してきた民主党が大統領だけでなく、議会上下院でも主導権を握ったことによる「米政界の権力シフトをにらんだ動き」(米メディア)との分析もある。

◆批判、罵倒、お騒がせ…

 トランプ氏のツイートを分析しているデータベース「トランプ・ツイッター・アーカイブ」によると、トランプ氏は就任以来、約2万6000回投稿。このうち「フェイク(偽)ニュース」に触れた書き込みは970回に上る。今月3日には新型コロナウイルスの感染拡大に関して「米国で中国ウイルスの感染者や死者数は、米疾病対策センター(CDC)の愚かな定義によって異様に誇張されている」と批判した。
 最も多い「いいね」を獲得した投稿は昨年10月の「今晩、メラニアと私はコロナで陽性が判明した。ただちに隔離と治療を始め、共に乗り越える!」で、187万件を獲得した。
 トランプ氏は人事でもツイッターを多用。19年9月には「私は昨晩、ジョン・ボルトン(当時の国家安全保障問題担当大統領補佐官)にホワイトハウスでの任務は必要なくなったと伝えた」と、ボルトン氏の解任を伝えた。その後、政権の内幕本を出版したボルトン氏を「最も間抜けな政府高官の1人」などと罵倒した。
 同年6月には、イランの革命防衛隊による米無人偵察機撃墜への報復措置として「イランに対して3カ所、限定的な攻撃を一時承認したものの攻撃10分前に撤回した」と明らかにし、世界を驚かせた。

◆「メディアは腐敗している」

 一国の指導者が他人の投稿をこまめにリツイート(転載)するのも異例だ。大統領選が差し迫った昨年10月には、オバマ前政権下の海軍特殊部隊による国際テロ組織アルカイダ指導者ウサマ・ビンラディン容疑者殺害について「殺されたのは影武者で、オバマ前大統領とバイデン前副大統領はそれを隠蔽するために特殊部隊を殺害した」という書き込みをリツイートした。
 書き込みは、トランプ氏を「悪魔と戦う救世主」と支持する陰謀論「Qアノン」系によるものだったが、トランプ氏はその後の市民対話集会で「Qアノンなど知らないし、リツイートしただけだ」と釈明。「メディアがフェイクで腐敗しているから、ソーシャルメディアを使う。それがなかったら私は情報を提供できない」と訴えた。

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