ブラジルのコロナ死者20万人超え、世界2位 ワクチン接種は月内開始へ
2021年1月11日 06時00分
【ニューヨーク=杉藤貴浩】南米ブラジルで新型コロナウイルス感染が再拡大し、死者数は世界最悪の米国に次いで20万人を突破した。保健当局は今月中にもワクチン接種を始めたい意向だが、コロナを軽視するボルソナロ大統領は依然として感染対策に後ろ向きで、事態はさらに悪化する恐れもある。
ロイター通信によると、ブラジルの累計感染者数は8日に800万人を超え、米国とインドに次ぐ世界3位。死者数は7日に20万人を超えた。1日当たりの死者は連日1000人前後で推移し、昨年6~7月に続く第二波に襲われている。
とりわけ今月は、年末年始の移動や会合の影響で、感染がさらに増えるとみられている。地元紙コレイオ・ブラジリエンセ(電子版)は、大都市の病院の集中治療室が使用率100%に近づいており、「医療崩壊の危機に直面している」と報じた。経済への打撃はすでに甚大で、世界銀行による昨年のブラジルの経済成長率見込みは、マイナス4.5%と、世界全体の同4.3%を下回った。
近隣のアルゼンチンやチリでは、すでにコロナワクチンの接種が始まっており、政府の対策遅れへの不満も高まっている。保健当局は、人口2億1000万人の同国で2回目分も含め、3億5000万回分のワクチンを確保することを計画。7日には中国製を1億回分購入する契約を発表し、最初の接種は月内にも始まる見通しだ。ただ、新興国間でのワクチン確保競争が激化すれば、全量を予定通り入手できるかは不透明さも残る。
一方、本来はコロナ対策を指揮する立場のボルソナロ氏は年明け早々、行楽客が密集するサンパウロ州の海水浴場で泳ぐ自身の姿をツイッターに投稿。先月にはワクチン接種について「ワニに変身しても自己責任だ」と不信感をあおるなど、社会や経済活動を優先させる姿勢を崩していない。
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