福島県外の最終処分、候補地探しも始まらず 汚染土など東京ドーム11個分超える<あの日から・福島原発事故10年>

2021年1月11日 06時00分

中間貯蔵施設の敷地は東京電力福島第一原発(上)に接している。上空からは分別や容積を減らす施設の白い屋根が見える=2020年10月21日、本社ヘリ「おおづる」から

 東京電力福島第一原発事故によって福島県内で出た汚染土の中間貯蔵施設について、国はこれまでに公有地を含む候補地1600ヘクタールの75%を取得した。民有地に限れば91%の1150ヘクタールが契約済みだ。各地から汚染土搬入は進むが、国が2044年度までの完了を目指す県外での最終処分は、候補地探しも始まっていない。

◆公共事業の盛り土などに再利用する方針

 環境省によると、中間貯蔵に搬入予定の汚染土や草木は1400万立方メートル。東京ドーム11個をいっぱいにしても足りない量だ。
 うち8割は、45年までに放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下になるとして、環境省は公共事業の盛り土などに再利用する方針を示している。
 ただ同省が示した再利用の基準値は、原子炉等規制法に基づく規則で「放射性廃棄物」とされる1キロ当たり100ベクレル以上という基準より80倍も高く、反対意見が根強い。同省は「適切な管理の下で行う」と理解を求めるが、管理の手引きは19年に案が示されたまま、固まっていない。
 最終処分地の候補地探しは、廃棄物に含まれる放射性物質を高温加熱などで濃縮する方法を24年度までに絞った後に始まる予定。環境省の大野皓史参事官補佐は「安全に処分できる技術的なベースを確かめる必要がある」と話す。

◆帰還困難区域で除染、さらに増える汚染土

 帰還困難区域の多くは除染の予定がないが、地元自治体が要望する全域除染が実現すれば汚染土はさらに増え、必要となる最終処分場の容量にも影響する。国が自治体の要望を受け入れるかは不透明だ。
 地元住民からは「どうせ運び出せない。最終処分地になる」とあきらめの声も聞こえる。30年以内の県外搬出について、小泉進次郎環境相は「地元との約束だ。必ず守れるように取り組む」と説明している。(福岡範行、小野沢健太)

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