<調布陥没>流砂現象の発生か 不十分な事前調査、ずさんな施工管理 トンネル専門家ら指摘

2021年1月11日 07時01分

「大深度法による被害の法的な観点から」をテーマに講演する武内更一弁護士=調布市で

 東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事の影響で、ルート上にある調布市の住宅街で陥没や空洞が生じた問題に関連し、沿線で計画の見直しを求める団体でつくる「外環ネット」が六、十日の両日、多摩地区で、専門家らを招いた緊急学習会を開いた。事業者の東日本高速道路が先月まとめた中間報告で陥没原因の一つに挙げた「特殊な地盤での工事」に疑問が示され、事前の地盤調査の不十分さや施工管理のずさんさが指摘された。 (花井勝規)
 六日の武蔵野市内の学習会には、長年多くのトンネル工事に携わってきた大塚正幸さん(80)と、現場周辺の地理形状に詳しい元高校教諭(自然地理学)の早川芳夫さん(68)が登壇した。
 東日本高速の中間報告によると、陥没や空洞が見つかった場所の真下をボーリング調査した結果、シールドマシンがトンネルを掘削した地下四十七メートルのところまで煙突状に地盤の緩みが生じていた。
 大塚さんは、山岳トンネル工事などでしばしば見られる事故との類似性があるとして「流砂現象が発生したのでは」と指摘した。流砂現象による事故は首都圏でも「上総(かずさ)層群」と呼ばれる砂層で多発している例を挙げ「粘り気のないさらさらの砂は安定しているが、水に漬かると流れ出し、最終的には地表に陥没を起こす」と述べた。
 大塚さんは「シールドマシンが礫(れき)層にぶつかり、(掘削面の)カッターでくだけ、地盤を揺すっている状態が長い時間続いた」とみる。緩められた砂はシールドマシン内部に過剰に取り込まれ、コンベヤーを通じて排出されたと推測した。
 早川さんは、陥没現場周辺の地下にはトンネルから地表面までの四十七メートルのうち上総層群の一つに分類される「東久留米層」が約四十メートルの厚さで広がっていると指摘。
 東日本高速が公表しているボーリング調査結果で陥没や空洞の真下以外にも地盤の強度を示すN値が一けた台の箇所が目立つことから、「地盤がぐじゅぐじゅに緩んだ範囲がトンネルの上で帯状に広がっている可能性がある」「一度緩んでしまった地盤では地盤沈下は早期には収まらない」と語った。
 十日は調布市内で被害補償に焦点を当てて学習会を開催。東京外環道大深度地下使用認可無効確認等訴訟弁護団の武内更一弁護士が、今回のトンネル工事の影響で生じた家屋損傷などの被害者向けに民法の損害賠償請求などについて解説した。

東京外環道のトンネル工事の影響で調布市の住宅街で陥没が起きた問題について専門家らの話を聞いた6日の学習会=武蔵野市で


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