バイト時間が減った「時短」勤務者らも休業補償の対象に 緊急事態、周知不足が課題

2021年1月12日 06時01分
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い再発令された緊急事態宣言で飲食店が営業短縮を要請されたことを受け、勤務時間や日数が短くなった従業員が休業時の補償を受けられるかが懸念されている。時短勤務でも一部休業として補償対象になることが十分に浸透していないためで、周知が急務になっている。(渥美龍太、岸本拓也)
 川崎市の飲食店に勤める女性アルバイト(67)は「昨年11月からバイト全員の勤務が週2日に減った」と明かす。週6日働いていた人もいたが、減った分は休業とみなされず手当はほぼ出ない。「会社が非常に厳しいのは分かるが、生活できない。洗い場の仲間9人の半数以上が辞めた」
 女性から相談を受けた労働組合、神奈川労連の沢田幸子氏は「休業手当の支払いは本来、労使で丁寧に話し合うべきだ」と主張。「時短に伴う手当の相談は急増しそう」と見通した。
 政府の要請に基づく休業の場合、企業に休業手当の支払い義務があるかどうか、厚生労働省は明確な指針を示していないが、休業手当に対する国の補助「雇用調整助成金」(雇調金)を利用し自主的に支払うよう企業を促している。雇調金は時短でも利用でき、8日には企業負担を軽くする特例の拡充を発表した。
 ただ、野村総研が昨年12月中旬にパートやアルバイトの女性を調べたところ、時短になった人のうち休業手当を受けていない割合は75・7%。時短が休業手当の対象になるのを「知らなかった」と「よく知らない」が計78%に上った。
 企業が休業手当を払わない場合、国から直接お金を受け取れる「休業支援金・給付金」制度もある。利用が伸び悩んだため、厚労省は昨秋、支給条件を緩和した。それでも野村総研調査では、休業支援金の存在を「知らなかった」と「よく知らない」が計83・9%に上った。昨年4~9月勤務分の申請期限が今年1月末に迫り、田村憲久厚労相は「心当たりがある人は申請を」と呼び掛けている。
 日本総研の山田久氏は「飲食店がアルバイト向けには雇調金を使わないなどの事態が起き、解雇・雇い止めの増加につながった」との見方を示す。「補償制度の周知に努めて当面の失業を防ぎつつ、飲食業の実態調査も必要」と提言する。

◆時短の休業手当

 飲食店の営業短縮などに伴い、従業員の働く時間が通常時より減った場合に休業手当を受けること。例えばアルバイトで5時間の勤務が3時間になれば、時短分の2時間が手当の対象になり得る。企業が法律に基づき一定額を支払った場合、現在は雇用調整助成金を使えば時間単位でも最大で全額が補填される。ただアルバイトなどは働く時間が週や月ごとに変わる「シフト制」が多く、企業側は「シフトを減らしただけで休業ではない」と主張し、支払われない問題も相次いでいる。

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