冬の食中毒の主犯格 ノロウイルス撃退 手洗いと加熱

2021年1月12日 07時25分
 気温と湿度が高い夏に起こりやすいイメージがある食中毒。だが、実は年間の食中毒の半数を占めるノロウイルスは冬に発生が集中している。ノロウイルスは低温や乾燥に強いため冬に流行しやすく、感染力も非常に強い。今シーズンも既に集団食中毒が発生した例があり、あらためて手洗いなどで予防を徹底したい。 (細川暁子)
 厚生労働省によると、二〇一九年に発生した食中毒の患者数は一万三千十八人だが、夏と冬では原因が異なる。夏の原因は、鶏肉などに付着したカンピロバクターや卵のサルモネラ菌といった細菌が多い。一方で、六千八百八十九人と年間の食中毒の約半数を占めるノロウイルスは、冬から春先に集中=グラフ。名古屋市衛生研究所の公衆衛生医師、山本敏弘さん(51)によると、ノロウイルスが冬に流行しやすいのは、乾燥に強い上、低温でも数週間生きられるためだ。
 感染経路には、食品からと、人からの二つがある。食品からの場合は、感染者が調理をしたことで汚染された食品を食べるなどして広がる。昨年十一月、集団中毒が起きた市内の居酒屋では、従業員三人と客四人からノロウイルスが検出された。
 予防には調理時に手洗いを徹底すること、食品を十分加熱することが大事。特に、内部にウイルスが蓄積される二枚貝は、中心部まで八五〜九〇度になるよう意識し、九十秒以上火を通すと安心だ。
 人からの感染は、便や嘔吐(おうと)物に含まれたウイルスが手についたり、空気中に舞ったものを吸い込んだりして広がる。感染力が非常に強いため「宴会場のじゅうたんに飛び散った嘔吐物の消毒が不十分で、二次感染が広がった例もある」と山本さんは指摘する。
 感染すると、一〜二日で嘔吐や下痢、腹痛などの症状が出る。三七〜三八度ほどの微熱を伴うことも。原因が細菌でないため抗生物質は効かず、吐き気止めや整腸剤などで症状を和らげながら治るのを待つしかない。下痢止めはウイルスの排出を遅らせる可能性があるため、自己判断で市販薬は使わない方がいい。
 通常は二〜三日で治まるが、のみ込む力が低下している高齢者は、嘔吐物が喉に詰まったり、気管に入り込んで「誤嚥(ごえん)性肺炎」を起こしたりする可能性がある。乳児も母乳を飲む量が少ないなど脱水が疑われれば、すぐに受診が必要だ。
 アルコールによる消毒は効果が薄いとされる。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは「エンベロープ」という脂質などでできた膜に覆われている。アルコールにはこの膜を壊す働きがあり、ウイルスにダメージを与えられる。一方、エンベロープがないノロウイルスに有効なのは次亜塩素酸ナトリウムだ。作りやすい目安として、濃度5%の市販の次亜塩素酸ナトリウムの場合、水二リットルに五十ミリリットルを加えると0・1%、十ミリリットルを加えると0・02%の消毒液ができる。
 便や嘔吐物の処理は、ペーパータオルなどで拭き取り、0・1%の消毒液をたらしてからポリ袋に入れて捨てる。まな板や包丁といった調理器具は洗剤などで洗い、0・02%の消毒液に漬けるといい。
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 消毒液の作り方は名古屋市のホームページ=「まるはっちゅーぶ ノロウイルス」で検索=で動画が見られる。

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