<東日本大震災から10年 つながるつなげる 今できること10年>横浜・ヒューマンフェローシップ 自立と復興の好循環

2021年1月12日 07時33分

うんめえもん市を行う岩本さん(右)と亀山さん(中)=横浜市役所で

 生きづらさを感じる若者と、震災で打撃を受けた被災地の交流が十年間続き、自立と復興の新しい支援の循環が生まれている。
 横浜市役所の二階多目的スペースで昨年十二月、宮城県石巻市の物産展「うんめえもん市」が開かれた。昼休み中の市職員が多く駆けつけ、特産の海産物を使った弁当やサバの缶詰などの海産物は飛ぶように売れていった。
 仕入れから販売まで取り仕切るのは、若者の自立支援を手掛けるK2インターナショナル(横浜市磯子区)。現地の特産品を横浜で販売することで復興を支援できるのではないかと、二〇一一年十一月に初めて開催した。系列のNPO法人「ヒューマンフェローシップ」代表理事の岩本真実さん(49)は「うんめえもん市の認知度が上がり、それを通じて活動を知ってもらう機会になることが増えている」と手応えを口にする。
 石巻市との交流が始まったきっかけは、法人元職員の亀山友理子さん(44)が震災時、出身地の石巻の避難所にいると知り、駆け付けて炊き出しをしたことだった。
 亀山さんを現地スタッフとして再雇用し、被災者が何を必要としているか調べてもらった。その後、市内に作った拠点に若者たちを派遣し、がれき処理や炊き出しに取り組んできた。
 活動を続けるうち、岩本さんらは、都会で生きづらさを感じる若者たちが石巻では穏やかに過ごし、生活に生きがいを感じていることに気付いた。石巻に長期滞在し、被災地ボランティアとして活動するプログラムなどを作ったところ、参加した若者が立ち直りのきっかけをつかむ姿を目の当たりにした。

仮設住宅で「移動居酒屋」を開き、立ち直るきっかけをつかんだ渥美さん=2012年4月、宮城県石巻市で(NPO法人「ヒューマンフェローシップ」提供)

 仕事のプレッシャーなどから引きこもりを続けていた渥美麻衣子さん(39)もその一人。「今の状況を打開したい。東北の力になりたい」と一二年一月にプログラムに参加した。キッチンカーで仮設住宅を巡回し、たこ焼きやお酒を販売する「移動居酒屋」で接客。住民からは「久しぶりに外に出られて良かった」と好評だったという。
 「石巻に貢献できているという自負が、次も頑張りたいという原動力になった」。横浜に帰ってきてからは、K2グループの社員となり、うんめえもん市の運営などを行っている。
 新型コロナウイルスの影響で石巻での活動は一時中断中だが、うんめえもん市は続け、開催は千百回を超えた。うんめえもん市を担当する株式会社を石巻に設立し、被災地に税金を納める仕組みも構築している。
 岩本さんは「十年たち支援が形になってきた。これからも活動を継続し、石巻での経験を生かしていきたい」。 (丸山耀平)

◆廃業しなくて済んだ
宮城県石巻市の「玉井海産物店」店主、玉井通さん(78)

 震災直後から若い人ががれき掃除や炊き出しを行ってくれていたので、「特産物を横浜で販売してくれれば困っている海産業者が助かるのではないか」と提案したら、「うんめえもん市」が始まった。サバ缶などの海産物を扱ってもらい、私も廃業しなくて済んだし、市内の復興の一助になっていて、大変感謝している。震災から年数がたち、撤退していく団体もある中で、支援を続けてくれるのはとてもありがたい。これからも元気である間は一生懸命を頑張りたい。
(おわり)

関連キーワード

PR情報

神奈川の新着

記事一覧