<11日に考えた>被災地支援、国際共通語で発信 前橋の元高校教諭・堀泰雄さん

2021年1月12日 08時00分

著書を見ながら活動を振り返る堀さん=前橋市で

 前橋市の元高校教諭堀泰雄さん(79)は、三月に十年を迎える東日本大震災直後から被災した岩手県釜石市唐丹(とうに)町の小中学生を支援する募金活動に携わり、その様子を国際共通語「エスペラント語」を使う世界の仲間に発信してきた。被災地はこれまでに約百回訪問。「目標だった二〇二〇年までの支援を達成したので、次は福島第一原発事故の被災者を支援したい」と決意を新たにしている。 (市川勘太郎)
 エスペラント語は十九世紀末、当時のポーランドで考案された国際的な人工語。平易な文法で、民族間の補助言語を目指した。話者は世界で約百万人いるという。堀さんは父母が話せたため幼少期から親しみ、大学時代に独学で習得した。
 募金活動は震災が起きた二〇一一年の六月、新聞記事で岩手県の元教諭高舘千枝子さんが始めた「唐丹希望基金」を知り「力になりたい」との思いから始めた。同八月に被災地に訪れて高舘さんに会い、エスペラント語の仲間に寄付を募る約束をした。
 基金は一一年に入学した小学生が中学卒業まで支援する目的で、寄付は世界中から集まった。金銭的な支援を中心に、卒業式には「紅白餅」を渡すこともあり、総支援額は三千万〜四千万円に上った。
 一五年には、被災地の写真を日本語とエスペラント語で説明する写真集も自費出版。震災九年目の昨年三月十一日にも両言語で「東日本大震災唐丹の海から世界へ 子どもたちと歩んだ9年」を自費出版。震災関連の本は六冊になった。
 堀さんは「エスペラント語の創始者はこの言語が民族の違いを超えて橋渡しとなることを目指した。理念を話者が理解し、仲間に共感が広がった」と振り返る。「メールで活動や被災地の状況を時差なく発信できた。仏国などと国際交流も生まれ絆が深まった」と実感を込める。基金には今後も副代表として携わる。
 一七年に訪れた福島県浪江町では、建物が震災当時のまま残る現状に心を痛めた。昨年四月から新たに原発事故に関連する「子ども脱被ばく裁判の会」に寄付を始めた。「放射線量が高く古里を離れた人がいる。支援しながら状況をまとめた本を出したい」と意気込んでいる。

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