<FUJI’S>忘れない

2021年1月12日 08時02分
 自宅の台所近くに飾られた一枚のエコー写真。写っているのは、一年前に健康上の問題で中絶手術を受け、出産を断念した双子の胎児。富士市の心理カウンセラー、桑原恵弥さん(27)は「よく目に入る場所に飾りたかったんです」と語る。
 術後、自責の念に苦しむ桑原さんに「若いから、すぐ次があるよ」と慰める人もいた。今でも、ふとした瞬間に当時を思い出す。「産んであげられなくてごめんね」という気持ちは消えない。それでも、象徴的なエコー写真を飾り続けるのは、「二人の記憶を胸にとどめたい」という思いの表れだ。
 台所近くには、五歳の一人息子と選んだ小さな人形も飾ってある。寄り添ってベンチに座る二匹の熊に、双子の胎児を重ね合わせる。桑原さんの中で、「双子ちゃん」と呼ぶ存在が確かに息づいている。 (富士通信部・佐野周平)

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