<しみん発>新鮮野菜で地域つなぐ Best Dishes!・荘埜晃一さん(45)

2021年1月12日 08時12分

「Best Dishes!」が地元の図書館で開いたマルシェ=東京都練馬区で(荘埜さん提供)

 農地面積が東京23区で最も広い練馬区。そんな練馬の農産物を知ってもらおうと活動するのが同区の農家や飲食店でつくる「Best(ベスト) Dishes(ディッシーズ)!」だ。地域密着のマルシェは人気で福祉施設と一緒に加工品も開発。代表の荘埜晃一さん(45)は「コロナ禍で昨年は開催できなかったマルシェを再開したい」と意気込む。 (西川正志)
 取れたてのトマトやキャベツ、そして練馬産の農産物を使った惣菜(そうざい)…。毎年、「Best Dishes!」が練馬区大泉学園町の区立図書館の敷地で開いていたマルシェには、鮮度抜群の農産物を求め、多くの人が行列を作った。初めて開催した年には、図書館の一日の来館者数の最多記録も更新するほど盛況だったという。荘埜さんは「地元の農産物を求める人は多いはずと考えていた。マルシェで、それを確信できた」と振り返る。
 結成したのは五年ほど前。当時、荘埜さんら農家が作った農産物は農協の直売所に並び、地元の飲食店はそこで農産物を仕入れており、農家と飲食店との直接的なつながりは希薄だった。
 荘埜さんと仲間の若手農家が「飲食店と連携すればいろいろな展開ができるのでは」と考え、中華、イタリアン、居酒屋など区内のさまざまな飲食店と勉強会を開いたのが始まりだ。
 数カ月後、練馬区などが主催するマルシェに参加。荘埜さんら農家の農産物を使い、メンバーの飲食店が作った一品料理を詰め込んだ「九マス弁当」を販売すると、あっという間に完売。メンバー同士の連携も強くなり、直接取引したり、農家と飲食店がお互いのお客さんや知り合いを紹介するなど販路拡大にもつながった。
 その後は通常の商品にならない農産物の利用を模索する中、区内の福祉作業所ともコラボし、加工品も開発。作業所の利用者がメンバーの農産物で作ったジャムは年間千本以上を売り上げるまでに成長した。
 地道に続けてきた「Best Dishes!」の活動は農家と飲食店だけではなく、福祉関係者、消費者とのつながりも着実に育んできた。荘埜さんは「当初は想像もできなかったくらい多くの人とつながることができた。今後も地域に密着しながら、練馬ってすてきなところだなと感じてもらえるように活動していきたい」と見通す。
<そうの・こういち> 東京都江東区生まれ。農業とは無縁のサラリーマンだったが、34歳で江戸時代から続く果樹農家の婿養子となり、就農。柿をメインにイチジクや柑橘(かんきつ)類などを生産している。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧