トランプ氏のSNS追放は「表現の自由」の侵害か 巨大IT企業の支配に懸念相次ぐ

2021年1月13日 06時00分
凍結されたトランプ米大統領のツイッターアカウント=ロイター・共同

凍結されたトランプ米大統領のツイッターアカウント=ロイター・共同

  • 凍結されたトランプ米大統領のツイッターアカウント=ロイター・共同
 米ツイッター社によるトランプ大統領のアカウント永久停止を受け「表現の自由」を巡る議論が高まっている。一握りの巨大IT企業の介入や裁量によってネット上で発信の場を奪われかねない現状に、透明なルール化を求める声が上がっている。(ワシントン・白石亘)
 「選挙で選ばれたわけでなく、民主的な説明責任もない4つか5つの企業が、独占的な力を持ってプラットフォームから人々を抹消している」。共和党のルビオ上院議員は10日、米メディアで巨大IT企業を批判した。
 6日の米連邦議会の一時占拠を受け、会員制交流サイト(SNS)は一斉にトランプ氏排除に動いた。フェイスブックが7日、同氏のアカウントを無期限停止し、ツイッター社も8日にアカウントを永久停止。さらなる暴力行為をあおる危険性などが理由だ。
 またトランプ支持者が多く利用する新興SNS「パーラー」の締め付けも強まり、グーグルとアップルはアプリ配信を停止。アマゾン・コムはパーラーへのクラウドサービス提供を打ち切り、パーラーは11日に運営停止に追い込まれた。
 一連の取り締まりには、過激派が再び議会を襲撃する計画が伝えられる中、「行動しないとさらに大きなリスクが生じる」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と理解する声も多い。
 とはいえ、米大統領でさえもSNSから追放する絶大な影響力を、ドイツのメルケル首相は問題視。「表現の自由は基本的権利として重要だ」(独政府報道官)とし、規制は法に基づくべきだと主張した。
 またロシアの野党指導者ナバリヌイ氏も「恣意的な決定で、許されない検閲だ」と批判。「この前例は世界中の『言論の自由』の敵によって悪用されるだろう。誰かを黙らせたければ『トランプ氏でさえブロックされた』と言えばいいのだから」とツイートし、不服を申し立てる委員会の設置などを求めた。
 一方、米国では民主党内から「ソーシャルメディアは、トランプ氏がばらまくウソや陰謀説、憎しみを社会に根付かせた」(ライシュ元労働長官)と、行動が遅すぎるとの不満が強い。SNSなどの規制強化がバイデン次期政権で優先課題に浮上する可能性もある。

関連キーワード

PR情報

国際の新着

記事一覧