韓国の検察は変われるか

2021年1月13日 07時08分
 「権力の大きさでいえば、大統領が最も大きいが、直接選挙で選ばれるのでせいぜい任期は五年だ。わが国の検察には捜査権も起訴権もある。制限のない権力を持ちながら、永遠に続く組織だ」
 十年前に韓国で出版された「検察共和国、大韓民国」という本に、こんな記述がある。
 韓国で長い間懸案になっていた検察改革が、姿を見せ始めた。検察から、政府高官らの不正を捜査する権限を独立させた新しい捜査機関「高位公職者犯罪捜査庁」が、近く発足する見通しとなったのだ。
 韓国の検察は、批判の対象になってきた。強大な権限を持ち、時々の政権に接近して、過剰なまでの捜査を行うからだ。
 文在寅(ムンジェイン)大統領も、検察改革を重要公約に掲げて当選した。この背景には、自分が仕えた盧武鉉(ノムヒョン)元大統領の悲劇的な最期がある。検察の改革に着手しながら、自分の親族に対する検察の捜査が迫り、自殺に追い込まれた。
 韓国で検察や検事は、映画やドラマなどの格好の材料だ。法律で武装した権力亡者のような姿で描かれる。羨望(せんぼう)と嫌悪が入り交じる存在だ。最近では、検察トップと法相の激しい争いが起き、国民の関心が集中した。
 捜査庁は、日本の地検特捜部の在り方も参考にしている。政権と距離を置き、権力中枢に切り込めるのか。やや強引に進められている改革の成果が気になる。  (五味洋治)

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