温暖化でお宝ザクザク!? ロシア永久凍土の融解でマンモス牙収集ブーム 5000年分がまだ地中に

2021年1月13日 14時00分
 ロシア極東サハ共和国で、マンモスの牙の収集が一大産業になり、中国や日本への輸出が急拡大している。引き金は地球温暖化。永久凍土が解け、氷結していたマンモスが地表に現れてきたためだ。(モスクワ・小柳悠志)

サハ共和国の永久凍土に眠るマンモス=ロシア通信

 気候変動で1万年前にほぼ絶滅したとされるマンモスが、人類が引き起こした温暖化で再び姿を現した。かつては狩猟の対象、今度は「宝の山」の死骸として。ロシア紙は、19世紀の金の採掘ブーム「ゴールドラッシュ」にちなんで「マンモスラッシュ」と呼ぶ。

◆平均月収超える現金収入 象牙目的のゾウ密猟も防げる

 サハ共和国産業地質省によると、同共和国に眠るマンモスの牙は50万トンと推計され、ロシア国内の8割を占める。サハではここ5年、牙の産出量は毎年100トンを超えるが、いまだに優に1000年分を上回る牙が残されている計算だ。
 牙は象牙のように置物や彫刻品、漢方薬に使われ、集まった牙の9割以上が中国など東アジアに輸出される。日本では印鑑の材質にも用いられるようだ。アフリカなどのゾウの牙は売買が国際規制されており、サハ産業地質省の広報は「マンモスの牙を市場に出すことで、現代のゾウを象牙目的の狩猟から救うことができる」と力を込める。
 サハでは、保存状態の良い牙は1キロ3万ルーブル(約4万2000円)で取引される。平均月給を超える現金収入とあって、「住民は積極的に牙の収集を行うようになった」とテレシェンコ産業地質相は明かす。
 温暖化は高緯度ほど影響を受けるとされ、サハを含む北極圏ではここ20年で4度近く気温が高くなった地域も。サハ科学アカデミーの研究者によれば、永久凍土の地表や川岸が解け、牙の収集は簡単になった。

◆闇ルートや病原菌汚染など問題点も

 一方、違法な収集や密輸も増えている。現行法では地面から露出した牙のみ収集が可能だが、違法な採掘によって牙を集める闇市場の規模は、合法的な市場の2倍に達するもようだ。
 永久凍土の中にある動物の死骸には、病気を引き起こすウイルスや菌が含まれることがあり、合法的に収集したマンモスは獣医師の検査を受ける仕組み。闇市場に流れるマンモスはこうした安全性が確保されていない点も問題だ。
 同じロシアの北極圏、ヤマロ・ネネツ自治管区では2016年、解けた永久凍土から炭疽菌たんそきんに汚染された動物の死骸が出て、住民が菌に集団感染する事故も起きている。

 サハ共和国 ロシアの極東連邦管区に属し、面積は日本の約8倍。永久凍土に覆われ、冬は氷点下50度を下回ることも多い。日本人と顔立ちの似たヤクート人が多数を占める。ダイヤモンドや金の採掘が盛ん。天然ガスや石油などの地下資源にも恵まれている。

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